神戸市垂水区霞ケ丘の垂水オアシス動物病院は人間と動物の絆を大切にする診療を心がけています。

オアシス便り
門脈シャント

7月頃、元気と食欲が無く、下痢をしていて、フラフラするという高齢パピヨンのワンちゃんが来院されました。

夏の暑い最中ですし、体調を崩しているのでしょうか。

 

飼主さんとご相談の上、

念のために健康診断を兼ねて一般的な検査(血液検査、エコー検査、便検査など)をしてみましたが

特に異常は見つかりませんでした。

点滴をしたり下痢止めの内服薬などで数日の間、様子をみて頂いたところ下痢は治りました。

しかし、元気食欲が無く「ふらつき」は相変わらず続いているのとのこと。

 

なにかおかしい…、ということでさらなる精査をすることになり、

やや特殊な項目の総胆汁酸(TBA)アンモニア(NH3)いう項目を測定したところ、

両方の値が異常に高いという結果が出ました。

 

このような場合考えられる代表的な疾患は、

門脈シャント(門脈体循環シャント)」です

(※他にも考えられる疾患はあります)。

 

この病気の子は、生まれつき門脈という消化管からの血液が肝臓に流れ難くなっているため肝臓が発達しておらず、

アンモニアなどの毒性成分が肝臓で処理できず体内から除去されないため、ふらつきがでたり、発作が起きたりしてしまうのです。

 

この病気が疑われた場合は、確定診断には造影CT検査が必要になるため今回もCTを撮影をして頂きました。

↑CT検査で「門脈シャント(門脈-奇静脈シャント)」と診断

 

この門脈シャントは、根本的には外科手術でシャント血管を閉じてあげれば改善させることが可能な病気でして、

 

根治させるための治療法には、

・糸で結紮(部分結紮)

・アメロイドコンストリクター使用

・セロファン使用

などが報告されています。

 

ヨークシャテリア等の小型犬のワンちゃんに時々見られる病気であるため、

生まれつきの異常の有無を確認するために、

避妊・去勢手術を行う時などにはTBA(総胆汁酸)を一度測定して診断しておいた方が良いかもしれません。

 

 

垂水オアシス動物病院

院長 井尻

 

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)

 

 

| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 20:05 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
胆石症

近頃よく見かけるようになった病気、それは胆嚢疾患です。

健康診断(エコー検査)で胆嚢の中に泥が溜まっていたり(胆泥症)、胆石が溜まっていたり(胆石症)、ゼリー状の粘液が溜まっていたり(胆嚢粘液瘤)などが見つかるのが代表的なものだと思います。

様子見でも問題ないケースから、悪化すると黄疸が出て死に至るケースまで様々あるのがやっかいなところなのです。

特に胆嚢粘液瘤や胆石などが原因で胆管が閉塞してしまうと状態が悪くなり最悪の場合急変してしまうため、様子見にせずにタイミングをみて積極的に対処していく必要があります。

 

今回来院されたワンちゃんは胆石ができており、

胆管に胆石が詰まってしまう可能性があるため、飼主さんとご相談の結果胆石を摘出することになりました。

問題なく摘出でき問題なく退院して行ってくれました。

 

ほとんどのケースでは様子見で済ませられる場合が多いのですが、まれに最悪の事態に陥るケースがあるため定期的な健康診断(エコー検査)が重要です。

↑摘出した胆嚢

 

↑胆石

 

垂水オアシス動物病院

獣医師 井尻

 

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)

| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 09:48 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
猫の便秘

こんばんは夜

9月に入り、ようやく朝夕は涼しい風が吹くようになってきて少し過ごしやすくなった印象があります。

 

今日は昨日トリミングにいらっしゃった猫さんのお話です。2年ぶりに寄られたとっても性格の穏やかな長毛の猫さんでしたが、体重計にのってもらうと体重が激減(5.4kg⇒3.6kg)しています。最近食べる量が減ってきているのも気になられていましたので、まずは身体検査から受けて頂くことになりました眼耳聴診器手鼻・・・・すると、何やらお腹の中に【握りこぶしより少し大きいくらいの硬いもの】が触知されます。

 

既往歴などもあったので、血液検査やレントゲン検査もしておくことになりました。

その猫さんのレントゲン写真です。

触診で触れた硬いものは、なんと『うんち』でしたうんち

これは『巨大結腸症』という猫に比較的多く認められる頑固な便秘肥大ないしは拡張した結腸を特徴とする疾患で、多くの獣医師が日常の診療において悩む疾病の一つでもあります。私も実際に何度かこの病気の猫さんを診る機会がありました。

 

原因は不明であることが多いのですが、食餌性の問題や、排便に行けない環境(習慣性)、交通事故などによる骨盤骨折(解剖学的な問題や神経損傷)が原因となったり、結腸平滑筋の機能障害などがあることが明らかになっています。

 

治療には通常、脱水を改善しながら浣腸や瀉下剤を使用し、そして可溶性線維食ご飯結腸の蠕動運動亢進薬薬を用いた保存療法が主流です。また、この猫さんの様に明らかに骨盤より大きなサイズの宿便がある場合は、手指により便を揉みほぐしながら掻きだすという事が必要になります。

 

(←掻きだした便の一部を袋に入れたものです)

 

 

それでもどうしようもない重症例では、結腸亜全摘術という外科手術を考慮しないとならないといわれていますが術後に下痢が続いたりと結構大変です。(もちろん術後も低残渣食がすすめられています。)

 

なかなかハードルが高いですし、侵襲的な治療法を行う前に是非行ってもよいのではないかと思われる治療方法があります。それはPEG(ポリエチレングリコール)による持続的な経口投与です。一時お預かりして行わなければならない処置ではありますが、その後再発がなくなったという猫さんもいるくらい良い方法のようです。(2010年アメリカ獣医内科学学会で発表された方法)

 

長期間の排便障害は食欲不振や体重減少を引き起こし、嘔吐や嗜眠を呈する場合もあります。

巨大結腸症でお悩みの方は、よろしければご相談下さい。

 

垂水オアシス動物病院

勤務獣医師 高瀬奈美

 

| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 18:27 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
胆嚢粘液嚢腫(胆嚢切除手術)
近年、胆石症や、胆泥症、胆嚢粘液嚢腫などの胆嚢がらみの病気を診断・治療することが増えており、
年に何頭かは胆嚢が破裂してグッタリ虚脱状態で来院されるワンちゃんがいます。

今回胆嚢切除術を行ったワンちゃんは、
健康診断で胆嚢粘液嚢腫が偶然発見されたため飼主さまとご相談の上、胆嚢を切除することになったのでした。
肝臓に胆汁うっ滞があったためなのか、術後に一時黄疸がでたりしましたが問題なく回復してくれてほっと一息です。

胆嚢疾患は腹部の超音波検査(エコー検査)で簡単に診断ができるため
中高齢になったら年に一度は健診をお勧めしています。

垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)


 
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 19:53 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
犬の低アルブミン血症
最近ご飯の種類を変えてから、ご飯を食べなくなり吐き気と下痢が出てきたため受診された6歳のチワワさん。
39.7℃と発熱し血液検査でも炎症があるときに上がる値が高くなり、なおかつ重度の低蛋白血症がありました。

この症例の場合はCRPや白血球数は落ち着いてもタンパクの一種のアルブミンは1g/dl以下(正常は2.5-4.4g/dl)とかなり低い状態が続いていました。

さて蛋白が低くなる原因として、
.織鵐僖質が吸収できない
▲織鵐僖質が合成できない
タンパク質が体外へ漏れ出て行ってしまう
ぅ織鵐僖質が炎症で体内の別の部位(お腹の中や胸の中など)に移行している

このようなことが考えられるのですが、腹部のエコー検査結果からも
『 食べたものを腸から吸収できない状況(消化管の病気)』が一番に疑われました。

消化管(胃と小腸)の病気を調べるために内視鏡検査を行いましたカチンコ(一部掲載)


小腸の粘膜にある絨毛(吸収効率をあげるための襞)が割と目立ち、粘膜が白とピンクのまだらになっている範囲が多かった印象ですが、明らかなできもの(ポリープや固形腫瘍)があるわけではありませんでした。

病理組織検査の結果からもリンパ管拡張や慢性的な炎症といった所見はあるものの、粘膜に浸潤するようなリンパ腫といったものではないということでしたので、治療をスタートし少しずつ回復しています。

腸の病気が疑われるときの方法には、内視鏡検査の他にもいくつかの方法があります。
すべての症例に必要であるという訳ではありませんが、『お腹が張ってきた』『嘔吐や下痢が持続している』『痩せてきた』・・・そんな時は健康診断の一環として診せて頂くこともできますので、どうぞご利用・ご相談ください。花

垂水オアシス動物病院
勤務獣医師 高瀬
 
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 18:11 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
内視鏡検査(胃カメラ)
先日、動物病院の先生からのご紹介で柴犬のワンちゃんが来院されました。
1ヶ月以上前から吐いたり、下痢したりを繰り返しているそうで当院で内視鏡検査を行うことになったのでした。
検査当日、十二指腸と胃から組織を採取し病理検査に出していた結果は…、
リンパ腫」という腫瘍がみられるということでした。

治療しても数週間、嘔吐や下痢・血便が止まらない場合などは、
どこかおかしいと考えて内視鏡検査をおこなうと何か異常が見つかるケースが多いと思います。
嘔吐や下痢などが続く場合はお気軽にご相談下さい。





垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 17:11 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
内視鏡検査(胃カメラ)
先日、内視鏡検査を実施しました。
動物病院の先生からのご紹介で柴犬のワンちゃんが来院されました。
1ヶ月以上前から吐いたり、下痢したりを繰り返しているそうで当院で内視鏡検査を行うことになったのでした。
治療しても数週間、嘔吐や下痢・血便が止まらない場合などは、
どこかおかしいと考えて内視鏡検査をおこなうと何か異常が見つかるケースが多いと思います。


↑内視鏡検査の様子 (日時、時刻は合っていません…)
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 18:15 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
胆石症
このところ寒くなってきていますね。
11月22日(日)は学会に参加するため獣医師の井尻(院長)は不在にしています。
代わりに獣医師の高瀬先生が診察を担当させて頂きますのでよろしくお願いします。

先日胆石のワンちゃんの手術がありましたので今回はこの件について。

ダックスフントを2匹飼われているご家庭で、
1匹の同居のワンちゃんが胆嚢破裂になってしまい緊急手術を数か月前に行いました。
そしてもう1匹のワンちゃんにもエコー検査で胆石が多数確認できたため
いつ胆石で胆管が詰まるかもしれない状態だったため摘出手術を行うことになったのでした。

以下画像は摘出した胆石と胆嚢です。
胆嚢からは胆石がゴロゴロ数多く大量に摘出されました。
いつもと同じように総胆管に胆石などが詰まっていないか総胆管の開通確認をして手術終了です。

↑摘出した胆嚢の中に詰まっていた大量の胆石


↑閲覧注意:摘出された胆嚢

いままでも同居犬で胆石が出来ていたり、
同じご家庭のワンちゃんが2匹とも胆嚢破裂を起こしたりしたのを
診察したことがあります。
食生活など生活環境が同じなのでなり易いのかもしれません。

胆嚢が破裂すると致命的になることが多いため、
胆石が詰まってしまい胆嚢破裂する前に胆石を摘出することをお勧めしています。

垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)
 
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 09:52 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
炎症性腸疾患(IBD:inflammatory bowel disease)
下痢や血便が続いている炎症性腸疾患(IBD)のワンちゃんが先月末に来院されたのでこの病気について。
IBDとは胃、小腸、大腸などの消化管粘膜に原因不明の炎症を起こし、血便や下痢などの消化器症状を引き起こす症候群です。犬や猫のIBDの原因などははっきり分かっていませんが、ヒトと同じく遺伝的な素因があったり、食餌、腸内細菌叢、腸管免疫などが複雑に関係していると考えられています。

診断は、(世界小動物獣医師会WSAVAによる診断基準)
1、慢性の消化器症状が3週間以上続くこと
2、病理組織学的検査により消化管粘膜の炎症性変化が明らかであること
3、消化管に炎症を引き起こす疾患が認められないこと
4、対症療法、食餌療法、抗菌薬などに完全には反応しないこと
5、抗炎症薬、免疫抑制療法によって症状が良化すること
のほとんどすべてを満たす必要があります。
上記の診断を見極めるために、食餌の変更を行ったり、投薬をしたり、その他の病気が無いか調べたりしていきます。

今回のワンちゃんの場合も、食事の変更や、抗菌薬などにも一時的に反応するものの血便や下痢が続いてしまうため、
内視鏡検査を行うことになりました。


↑大腸カメラで大腸内部を観察しています


↑大腸(上行結腸辺り)に病変が見られます


↑バイオプシー(組織生検)を実施します

組織検査もIBD疑いということでしたのでこの病気向けの投薬を行うと血便や下痢などの症状が改善してくれました。
下痢止めや整腸剤などで治らない慢性の下痢や血便は、IBDや腫瘍が隠れている可能性がありますので詳しい検査が必要なことがあります。

垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)


 
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 18:14 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
大腸内視鏡検査
先日、明石にある動物病院の先生からのご紹介で来院されたダックスフントちゃんの大腸内視鏡検査を行いました。
お薬を飲んでも粘血便やいきみが2か月ぐらい止まらず、何か異常が無いか内視鏡で調べてみる必要がありました。
下痢が続く場合、お薬を続けても効果が見られない場合は大腸内視鏡検査の適応症です。

動物の場合は胃カメラや大腸カメラの場合も全身麻酔下で行います。
人間の場合は何をされているか理解できるので我慢もできますが、
何をされているか分からない動物では拷問になってしまうためでその方が動物にとっては楽なハズです。

まず、前日から絶食にして頂き、当日の朝に浣腸を何回か行います。
その後麻酔を掛けて寝てもらったのちに、大腸を温かい生理食塩水で洗浄して前準備が完了します。

カメラを入れていきますと…

一見キレイなのですが、粘膜が一部痛んでいる場所があります。


大腸の一番奥(回盲部)が見えてきました


内視鏡下で組織検査を行うために鉗子(画像中にある銀色の挟む器具)で生検をおこないます


カメラを奥から手前に抜いてきつつ、鉗子で組織を何か所か採取します


モニターで見て問題なさそうにみえても、組織を採取して調べてみると、
IBD(炎症性腸疾患)や腫瘍などの異常が見つかることも多いので組織採取は必須です。

長期間治らない下痢などでお困りの場合はお気軽に当院までご相談下さい。


垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 11:44 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
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