神戸市垂水区霞ケ丘の垂水オアシス動物病院は人間と動物の絆を大切にする診療を心がけています。

オアシス便り
直腸脱?

先日、お尻から何かが出てきている!という女の子のワンちゃんが来院されました。

 

飼主さんからお話をお伺いすると以前からお尻周りが腫れており便をする時にいきみが見られて、

便が出にくそうだったとのこと。

そしてある日、突然何か硬いものがコロンと飛び出してこうなってしまったということでした。

↑肛門から直腸と何かが出てきています

 

こうなった原因が腫瘍なのか、感染なのか、雌には非常に珍しい会陰ヘルニアなのか病理検査などで調べてみないと不明ですが、

こうなってしまっては生きていけないため飛び出ている部分を切除し直腸などを整復することになりました。

 

↑術後の様子

 

その後、問題なく便も出ており、病理検査の結果も腫瘍ではなく、

経過は順調ですがもうしばらく経過観察が必要です。

 

垂水オアシス動物病院

獣医師 井尻

 

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)

 

 

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門脈シャント(門脈体循環シャント:PSS)

台風が過ぎたと思ったら、今日はすごい大雨ですね。

さすがに動物病院ものんびりです。

 

昨日は岡山の動物病院さんのところへマイクロCTスキャンの見学へ行って来たのですが、

親切に色々教えて頂いてとても参考になり勉強になりました。

神戸⇔岡山は高速道路で2時間程度で、ドライブには丁度いいくらいの距離だったのですが、

岡山名物?も食べずにとんぼ返りだったので、またリベンジしたいところです。

 

さて、

今回は、門脈体循環シャントという疾患のワンちゃんの診断・治療・手術を行ったのでこの病気について。

 

門脈体循環シャント(PSS)とは、

門脈系の血管と体循環系の血管が短絡(シャント)した状態をいいます。

簡単にいいますと、

腸から流れてきた栄養分が含まれた血液が本来流れていくべき肝臓に流れ込まず処理されずに身体に流れてしまうため、

いろいろな症状が発生します。

 

症状は、

神経系(ふらつき、旋回、発作)消化器系(嘔吐、よだれ)、尿石症、発育不良などが認められ、

一歳未満の若齢で症状がでることが多いと言われていますが、高齢になってから症状がでるケースもあります。

 

国内では好発犬種として、

ヨーキー、シュナウザー、マルチーズ、パピヨン、トイプードルなどに多くみられます。

 

PSSの治療では、

外科的にシャント血管(本来あってはいけない血管)を結紮する必要があります。

PSSが外科的に治療されずに放置されると、肝臓の萎縮や脂肪変性、肝臓組織の線維化がおこり、肝不全に陥るため、

できるだけ早期に手術を実施した方が良いと考えられています。

 

今回のワンちゃんは好発犬種の1歳半くらいのヨークシャテリアでした。

ある日、「急に震えだし、立とうとしても足が絡まって歩けない」という主訴で来院されたので、

門脈シャントを疑い、

血液検査(アンモニア、総胆汁酸測定)や造影CT検査で精査したところ左胃静脈ー横隔膜静脈シャントと診断しました。

 

手術方法はいくつかあり、

糸で短絡血管を結紮(部分結紮、完全結紮)、セロファンでゆっくり結紮、アメロイドコンストリクターで結紮、などがありますが、今回は血管をゆっくりと閉塞させることができるセロファンを用いた手術法で行いました。

 

セロファンバインディングについて(英文サイト)

 

どの方法を選択するかは、手術中に門脈血圧を測定したり、臓器の色をみたり、動脈圧を測定したりして、

総合的に判断する必要があります。

門脈シャントの手術は、最近は術前に造影CTスキャンなどで短絡血管を見つけ、

術前に手術のシュミレーションが可能なため以前に比べるとやり易くなっています。

 

↑※閲覧注意(手術の画像です。苦手な方はご注意ください。)

胃から横隔膜へ向けて異常血管が認められます

 

↑※閲覧注意(手術の画像です。苦手な方はご注意ください。)

鉗子で異常血管を剥離していきます

 

↑門脈造影検査を行うと、左胃〜横隔膜静脈へのシャント血管へ門脈血が流れているのが確認できます。

 

↑※閲覧注意(手術の画像です。苦手な方はご注意ください。)

門脈圧を測定してから、異常血管にセロファンを巻き付け、血管クリップでとめます。

これで4〜5週間程度で血管がゆっくりと閉塞していきます。

 

 

 

↑問題なく麻酔から覚めてくれました。

 

垂水オアシス動物病院

院長 井尻

 

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)

| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 19:23 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
会陰ヘルニア

先日、「会陰ヘルニア」の手術があったので今回はこの病気について。

 

会陰ヘルニアとは肛門周囲の筋肉が高齢になると薄くなってきてしまい孔が開き、腸や膀胱などの内臓が孔を通って肛門の横から飛び出てきてしまう病気です。会陰ヘルニアは去勢手術をしていない雄犬に高い確率で起こります(去勢手術をしている子や、女の子のワンちゃんはまずならないです)。

 

飼主さまとよくご相談の上、

開腹手術にて「直腸固定術」+「精管を腹壁に固定」+「内閉鎖筋フラップ法」を組み合わせて整復しました。

 

↑直腸の一部を腹壁に固定

 

 

↑精管を腹壁に固定

 


↑内閉鎖筋を利用してヘルニア孔を塞ぎました


原因
会陰ヘルニアは去勢手術をしていない高齢の雄犬によくみられ、雄性ホルモンが影響している可能性が高いといわれています。おとなしい子でも起こりますし、特によく吠えるワンちゃんでよく見かけることが多いです。

症状
会陰ヘルニアになると排便時のいきみ(うんちが出にくい)、しぶり、排便困難、排尿困難などの症状がみられます。またお尻の横が腫れているのがわかります。

治療
手術でお尻周りの筋肉を修復して孔を塞ぎます。色々な手術の方法があり状況により適宜使い分けます。今回のワンちゃんは「直腸固定術+精管固定+内閉鎖筋フラップ法」という再発率が低い方法で実施しています。

この病気になると便が出なくて苦しい思いをすることが多く、飼い主さんが定期的に浣腸や便をかき出したりしないといけません。高齢になってから定期的に便をかき出さないといけないのは動物も飼い主さんも大変ですので手術になるケースが多く見られます。

会陰ヘルニアでお困りの方はご相談ください。
予防の為にも高齢になる前の若いうちに去勢手術を済ませておくことをお勧めします。


垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻

 

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)

| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 19:20 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
肛門嚢の炎症・自壊

先日、

肛門嚢に炎症が起こり自壊した猫ちゃんが来院されました。

犬猫には「肛門嚢」というふくろが肛門のすぐ側に存在しており、

これに感染が起きたりすると気にして舐めてしまい、その部位に孔が開いてしまいます。

 

↑来院時の様子(肛門嚢が破れて自壊しています)

 

 

↑周りの毛をバリカンで刈ってみたところ、皮膚が壊死して孔があいています。

 

こうなってしまうと、消毒したり、抗生物質を投与したりしながら2〜3週間ぐらい治るのに時間が掛かってしまいます。

お尻周りを舐めたり気にしている場合は、肛門嚢を絞ってあげたりした方が良いと思います。

 

垂水オアシス動物病院

獣医師 井尻

 

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)

| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 19:35 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
胆嚢炎

もう四月、新年度ですね。

 

この歳になると学年が変わるとか、職場が変わる訳ではないですので目新しさは有りませんが、

新しく始めた事として、毎日朝と夜に軽く走っています(ちょこっとだけ)。

過年度は英語の勉強を1年間していたのですが、

とりあえずこれも「継続は力なり」ということで一年間続けてみる予定です。

 

さて、

1歳のトイプードルのワンちゃんが様子がおかしいということで来院されました。

2〜3日前から嘔吐がみられ、元気や食欲がないとのこと。

 

ふだんと様子がいつもと明らかに違うため、

X線検査、エコー検査、血液検査などを行い詳しく診察させて頂くと、

血液検査で炎症反応の数値や肝数値が上昇しており、胆嚢周囲に水が溜まり、腹水が溜まっていました。

 

1歳と若齢ではあるものの、このまま放置すると急変する危険性も有りうることから、

「胆嚢炎、胆嚢壁の穿孔」などを疑い試験開腹術を行い、胆嚢切除と肝臓の病理検査などを行いました。

 

↑※閲覧注意:胆嚢と肝臓が腫れています

 

↑※閲覧注意:胆嚢を切除しました

 

こんなにも若く(1歳)に胆嚢疾患が発症したのは運が悪いと思いますが、

早めに対処できたため問題なく回復し退院していってくれました。ほっ

 

やはり、いつもと様子が違う(元気が無い、食欲が無い)時は

何か異常があると思いますので早めの受診が必要だと改めて思わされます。

 

 

垂水オアシス動物病院

獣医師 井尻

 

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)

| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 17:20 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
胆嚢疾患(胆嚢炎・胆石)

12月の年末最後にミニチュアシュナウザーちゃんが来院されました。

なぜか休みに入る直前に決まって重症患者さんが来院されるのはおそらくどの動物病院でもよくある話です。汗

 

そのシュナちゃん、

何日か前から嘔吐が続いており、

診察台の上でぐったりしていてかなりしんどそうです。

 

お近くの動物病院さんで異物誤食事故を疑われ、

バリウム検査までされたそうなのですが異物は見つからず原因不明で経過観察中とのこと。

飼主さんは年末年始このまま年越しをして大丈夫なのか…?と心配になられて当院へ来院されたとのことでした。

 

当院でも原因を調べるために、

X線検査、エコー検査、血液検査などをおこなったところ、

胆嚢や肝臓付近に遊離ガス(←消化管穿孔の時などに発生。胆嚢破裂が原因?)が認められ、

腹水(←血様の腹水。胆嚢破裂が原因?)がエコー検査で確認されたため、

「胆嚢破裂」の疑いが濃厚でした。

主治医の先生が診察・検査された時点で問題が見つからなくても、急に悪化することも有り得ると思います。

こういった胆嚢破裂からの胆汁性腹膜炎を起こしているケースではたとえ手術したとしても、

68%という高率な死亡率が報告(Aguirre Center 2007)されています。

 

 

しかし、

このまま経過観察をしていっても回復する見込みがまず無いため飼主さんとご相談のうえ試験開腹手術を行うことなりました。

血液凝固系の数値(←これがおかしいと手術中・後に血が止まらない恐ろしい事態に…)に異常値が出ていたため、

輸血を行ってから胆嚢摘出手術を行いました。

 

↑摘出した胆嚢の中にあった胆石

 

やはり胆嚢がボロボロで、周りの肝臓も一部壊死しているような状態でしたがなんとか問題なく摘出できました。

その後、正月は病院で過ごしてもらうことになってしまいましたが無事に退院していってくれたのでほんとに良かったです。

 

腹部エコー検査を含む定期的な健康診断(半年〜年一回)を受けておけば事前にこういう事態を回避できるかもしれないため、

やはり年に一度の健診はお勧めです。

 

 

垂水オアシス動物病院

獣医師 井尻

 

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)

 

 

 

 

 

 

| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 09:05 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
門脈シャント

7月頃、元気と食欲が無く、下痢をしていて、フラフラするという高齢パピヨンのワンちゃんが来院されました。

夏の暑い最中ですし、体調を崩しているのでしょうか。

 

飼主さんとご相談の上、

念のために健康診断を兼ねて一般的な検査(血液検査、エコー検査、便検査など)をしてみましたが

特に異常は見つかりませんでした。

点滴をしたり下痢止めの内服薬などで数日の間、様子をみて頂いたところ下痢は治りました。

しかし、元気食欲が無く「ふらつき」は相変わらず続いているのとのこと。

 

なにかおかしい…、ということでさらなる精査をすることになり、

やや特殊な項目の総胆汁酸(TBA)アンモニア(NH3)いう項目を測定したところ、

両方の値が異常に高いという結果が出ました。

 

このような場合考えられる代表的な疾患は、

門脈シャント(門脈体循環シャント)」です

(※他にも考えられる疾患はあります)。

 

この病気の子は、生まれつき門脈という消化管からの血液が肝臓に流れ難くなっているため肝臓が発達しておらず、

アンモニアなどの毒性成分が肝臓で処理できず体内から除去されないため、ふらつきがでたり、発作が起きたりしてしまうのです。

 

この病気が疑われた場合は、確定診断には造影CT検査が必要になるため今回もCTを撮影をして頂きました。

↑CT検査で「門脈シャント(門脈-奇静脈シャント)」と診断

 

この門脈シャントは、根本的には外科手術でシャント血管を閉じてあげれば改善させることが可能な病気でして、

 

根治させるための治療法には、

・糸で結紮(部分結紮)

・アメロイドコンストリクター使用

・セロファン使用

などが報告されています。

 

ヨークシャテリア等の小型犬のワンちゃんに時々見られる病気であるため、

生まれつきの異常の有無を確認するために、

避妊・去勢手術を行う時などにはTBA(総胆汁酸)を一度測定して診断しておいた方が良いかもしれません。

 

 

垂水オアシス動物病院

院長 井尻

 

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)

 

 

| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 20:05 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
胆石症

近頃よく見かけるようになった病気、それは胆嚢疾患です。

健康診断(エコー検査)で胆嚢の中に泥が溜まっていたり(胆泥症)、胆石が溜まっていたり(胆石症)、ゼリー状の粘液が溜まっていたり(胆嚢粘液瘤)などが見つかるのが代表的なものだと思います。

様子見でも問題ないケースから、悪化すると黄疸が出て死に至るケースまで様々あるのがやっかいなところなのです。

特に胆嚢粘液瘤や胆石などが原因で胆管が閉塞してしまうと状態が悪くなり最悪の場合急変してしまうため、様子見にせずにタイミングをみて積極的に対処していく必要があります。

 

今回来院されたワンちゃんは胆石ができており、

胆管に胆石が詰まってしまう可能性があるため、飼主さんとご相談の結果胆石を摘出することになりました。

問題なく摘出でき問題なく退院して行ってくれました。

 

ほとんどのケースでは様子見で済ませられる場合が多いのですが、まれに最悪の事態に陥るケースがあるため定期的な健康診断(エコー検査)が重要です。

↑摘出した胆嚢

 

↑胆石

 

垂水オアシス動物病院

獣医師 井尻

 

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)

| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 09:48 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
猫の便秘

こんばんは夜

9月に入り、ようやく朝夕は涼しい風が吹くようになってきて少し過ごしやすくなった印象があります。

 

今日は昨日トリミングにいらっしゃった猫さんのお話です。2年ぶりに寄られたとっても性格の穏やかな長毛の猫さんでしたが、体重計にのってもらうと体重が激減(5.4kg⇒3.6kg)しています。最近食べる量が減ってきているのも気になられていましたので、まずは身体検査から受けて頂くことになりました眼耳聴診器手鼻・・・・すると、何やらお腹の中に【握りこぶしより少し大きいくらいの硬いもの】が触知されます。

 

既往歴などもあったので、血液検査やレントゲン検査もしておくことになりました。

その猫さんのレントゲン写真です。

触診で触れた硬いものは、なんと『うんち』でしたうんち

これは『巨大結腸症』という猫に比較的多く認められる頑固な便秘肥大ないしは拡張した結腸を特徴とする疾患で、多くの獣医師が日常の診療において悩む疾病の一つでもあります。私も実際に何度かこの病気の猫さんを診る機会がありました。

 

原因は不明であることが多いのですが、食餌性の問題や、排便に行けない環境(習慣性)、交通事故などによる骨盤骨折(解剖学的な問題や神経損傷)が原因となったり、結腸平滑筋の機能障害などがあることが明らかになっています。

 

治療には通常、脱水を改善しながら浣腸や瀉下剤を使用し、そして可溶性線維食ご飯結腸の蠕動運動亢進薬薬を用いた保存療法が主流です。また、この猫さんの様に明らかに骨盤より大きなサイズの宿便がある場合は、手指により便を揉みほぐしながら掻きだすという事が必要になります。

 

(←掻きだした便の一部を袋に入れたものです)

 

 

それでもどうしようもない重症例では、結腸亜全摘術という外科手術を考慮しないとならないといわれていますが術後に下痢が続いたりと結構大変です。(もちろん術後も低残渣食がすすめられています。)

 

なかなかハードルが高いですし、侵襲的な治療法を行う前に是非行ってもよいのではないかと思われる治療方法があります。それはPEG(ポリエチレングリコール)による持続的な経口投与です。一時お預かりして行わなければならない処置ではありますが、その後再発がなくなったという猫さんもいるくらい良い方法のようです。(2010年アメリカ獣医内科学学会で発表された方法)

 

長期間の排便障害は食欲不振や体重減少を引き起こし、嘔吐や嗜眠を呈する場合もあります。

巨大結腸症でお悩みの方は、よろしければご相談下さい。

 

垂水オアシス動物病院

勤務獣医師 高瀬奈美

 

| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 18:27 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
胆嚢粘液嚢腫(胆嚢切除手術)
近年、胆石症や、胆泥症、胆嚢粘液嚢腫などの胆嚢がらみの病気を診断・治療することが増えており、
年に何頭かは胆嚢が破裂してグッタリ虚脱状態で来院されるワンちゃんがいます。

今回胆嚢切除術を行ったワンちゃんは、
健康診断で胆嚢粘液嚢腫が偶然発見されたため飼主さまとご相談の上、胆嚢を切除することになったのでした。
肝臓に胆汁うっ滞があったためなのか、術後に一時黄疸がでたりしましたが問題なく回復してくれてほっと一息です。

胆嚢疾患は腹部の超音波検査(エコー検査)で簡単に診断ができるため
中高齢になったら年に一度は健診をお勧めしています。

垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)


 
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 19:53 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
犬の低アルブミン血症
最近ご飯の種類を変えてから、ご飯を食べなくなり吐き気と下痢が出てきたため受診された6歳のチワワさん。
39.7℃と発熱し血液検査でも炎症があるときに上がる値が高くなり、なおかつ重度の低蛋白血症がありました。

この症例の場合はCRPや白血球数は落ち着いてもタンパクの一種のアルブミンは1g/dl以下(正常は2.5-4.4g/dl)とかなり低い状態が続いていました。

さて蛋白が低くなる原因として、
.織鵐僖質が吸収できない
▲織鵐僖質が合成できない
タンパク質が体外へ漏れ出て行ってしまう
ぅ織鵐僖質が炎症で体内の別の部位(お腹の中や胸の中など)に移行している

このようなことが考えられるのですが、腹部のエコー検査結果からも
『 食べたものを腸から吸収できない状況(消化管の病気)』が一番に疑われました。

消化管(胃と小腸)の病気を調べるために内視鏡検査を行いましたカチンコ(一部掲載)


小腸の粘膜にある絨毛(吸収効率をあげるための襞)が割と目立ち、粘膜が白とピンクのまだらになっている範囲が多かった印象ですが、明らかなできもの(ポリープや固形腫瘍)があるわけではありませんでした。

病理組織検査の結果からもリンパ管拡張や慢性的な炎症といった所見はあるものの、粘膜に浸潤するようなリンパ腫といったものではないということでしたので、治療をスタートし少しずつ回復しています。

腸の病気が疑われるときの方法には、内視鏡検査の他にもいくつかの方法があります。
すべての症例に必要であるという訳ではありませんが、『お腹が張ってきた』『嘔吐や下痢が持続している』『痩せてきた』・・・そんな時は健康診断の一環として診せて頂くこともできますので、どうぞご利用・ご相談ください。花

垂水オアシス動物病院
勤務獣医師 高瀬
 
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 18:11 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
内視鏡検査(胃カメラ)
先日、動物病院の先生からのご紹介で柴犬のワンちゃんが来院されました。
1ヶ月以上前から吐いたり、下痢したりを繰り返しているそうで当院で内視鏡検査を行うことになったのでした。
検査当日、十二指腸と胃から組織を採取し病理検査に出していた結果は…、
リンパ腫」という腫瘍がみられるということでした。

治療しても数週間、嘔吐や下痢・血便が止まらない場合などは、
どこかおかしいと考えて内視鏡検査をおこなうと何か異常が見つかるケースが多いと思います。
嘔吐や下痢などが続く場合はお気軽にご相談下さい。





垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 17:11 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
内視鏡検査(胃カメラ)
先日、内視鏡検査を実施しました。
動物病院の先生からのご紹介で柴犬のワンちゃんが来院されました。
1ヶ月以上前から吐いたり、下痢したりを繰り返しているそうで当院で内視鏡検査を行うことになったのでした。
治療しても数週間、嘔吐や下痢・血便が止まらない場合などは、
どこかおかしいと考えて内視鏡検査をおこなうと何か異常が見つかるケースが多いと思います。


↑内視鏡検査の様子 (日時、時刻は合っていません…)
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 18:15 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
胆石症
このところ寒くなってきていますね。
11月22日(日)は学会に参加するため獣医師の井尻(院長)は不在にしています。
代わりに獣医師の高瀬先生が診察を担当させて頂きますのでよろしくお願いします。

先日胆石のワンちゃんの手術がありましたので今回はこの件について。

ダックスフントを2匹飼われているご家庭で、
1匹の同居のワンちゃんが胆嚢破裂になってしまい緊急手術を数か月前に行いました。
そしてもう1匹のワンちゃんにもエコー検査で胆石が多数確認できたため
いつ胆石で胆管が詰まるかもしれない状態だったため摘出手術を行うことになったのでした。

以下画像は摘出した胆石と胆嚢です。
胆嚢からは胆石がゴロゴロ数多く大量に摘出されました。
いつもと同じように総胆管に胆石などが詰まっていないか総胆管の開通確認をして手術終了です。

↑摘出した胆嚢の中に詰まっていた大量の胆石


↑閲覧注意:摘出された胆嚢

いままでも同居犬で胆石が出来ていたり、
同じご家庭のワンちゃんが2匹とも胆嚢破裂を起こしたりしたのを
診察したことがあります。
食生活など生活環境が同じなのでなり易いのかもしれません。

胆嚢が破裂すると致命的になることが多いため、
胆石が詰まってしまい胆嚢破裂する前に胆石を摘出することをお勧めしています。

垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)
 
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 09:52 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
炎症性腸疾患(IBD:inflammatory bowel disease)
下痢や血便が続いている炎症性腸疾患(IBD)のワンちゃんが先月末に来院されたのでこの病気について。
IBDとは胃、小腸、大腸などの消化管粘膜に原因不明の炎症を起こし、血便や下痢などの消化器症状を引き起こす症候群です。犬や猫のIBDの原因などははっきり分かっていませんが、ヒトと同じく遺伝的な素因があったり、食餌、腸内細菌叢、腸管免疫などが複雑に関係していると考えられています。

診断は、(世界小動物獣医師会WSAVAによる診断基準)
1、慢性の消化器症状が3週間以上続くこと
2、病理組織学的検査により消化管粘膜の炎症性変化が明らかであること
3、消化管に炎症を引き起こす疾患が認められないこと
4、対症療法、食餌療法、抗菌薬などに完全には反応しないこと
5、抗炎症薬、免疫抑制療法によって症状が良化すること
のほとんどすべてを満たす必要があります。
上記の診断を見極めるために、食餌の変更を行ったり、投薬をしたり、その他の病気が無いか調べたりしていきます。

今回のワンちゃんの場合も、食事の変更や、抗菌薬などにも一時的に反応するものの血便や下痢が続いてしまうため、
内視鏡検査を行うことになりました。


↑大腸カメラで大腸内部を観察しています


↑大腸(上行結腸辺り)に病変が見られます


↑バイオプシー(組織生検)を実施します

組織検査もIBD疑いということでしたのでこの病気向けの投薬を行うと血便や下痢などの症状が改善してくれました。
下痢止めや整腸剤などで治らない慢性の下痢や血便は、IBDや腫瘍が隠れている可能性がありますので詳しい検査が必要なことがあります。

垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)


 
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 18:14 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
大腸内視鏡検査
先日、明石にある動物病院の先生からのご紹介で来院されたダックスフントちゃんの大腸内視鏡検査を行いました。
お薬を飲んでも粘血便やいきみが2か月ぐらい止まらず、何か異常が無いか内視鏡で調べてみる必要がありました。
下痢が続く場合、お薬を続けても効果が見られない場合は大腸内視鏡検査の適応症です。

動物の場合は胃カメラや大腸カメラの場合も全身麻酔下で行います。
人間の場合は何をされているか理解できるので我慢もできますが、
何をされているか分からない動物では拷問になってしまうためでその方が動物にとっては楽なハズです。

まず、前日から絶食にして頂き、当日の朝に浣腸を何回か行います。
その後麻酔を掛けて寝てもらったのちに、大腸を温かい生理食塩水で洗浄して前準備が完了します。

カメラを入れていきますと…

一見キレイなのですが、粘膜が一部痛んでいる場所があります。


大腸の一番奥(回盲部)が見えてきました


内視鏡下で組織検査を行うために鉗子(画像中にある銀色の挟む器具)で生検をおこないます


カメラを奥から手前に抜いてきつつ、鉗子で組織を何か所か採取します


モニターで見て問題なさそうにみえても、組織を採取して調べてみると、
IBD(炎症性腸疾患)や腫瘍などの異常が見つかることも多いので組織採取は必須です。

長期間治らない下痢などでお困りの場合はお気軽に当院までご相談下さい。


垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)
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炎症性結直腸ポリープ
新年が始まってからもう11日目。
慌ただしく過ごしていると時間があっという間に過ぎてしまいます。

さて、今回は年末に「下痢、血便、嘔吐」の消化器系トラブルのワンちゃんの来院が多かったので
「血便」についてのお話です。

人間で「血便が続く」というと、大腸ポリープ、大腸がん、潰瘍性大腸炎…etc、などを疑い大腸カメラを受けることになると思います。
犬や猫の場合も同じく上記のような病気が稀ですが存在するため、一般的なお薬で治療しても血便がずっと止まらない場合は詳しい検査(大腸内視鏡検査)をすることが必要になります。
当院では大腸内視鏡検査を診療に取り入れており、内視鏡を用いた診断・治療を受けて頂くことができます。

12月にいきみと血便が一日に何回も続くというミニチュアダックスのワンちゃんが来院されました。
お話をお伺いすると…、「ゼリー状の血便が1ヶ月〜2ヶ月以上ずっと続いている。近くの動物病院で下痢止めや整腸剤を処方してもらい飲んでいるものの全く改善の気配がない。」とのこと。
このままでは改善の見込みは低いと思われるため、血便の原因を詳しく調べるために内視鏡検査を実施しました。

↑内視鏡検査の様子(直腸にできものが出来ており出血も見られます。 ※3:45以降)

このできものの一部を採取し、病理組織検査へ提出します。
これで良性ポリープなのか、悪性腫瘍なのかが判別できます。

近年、ミニチュア・ダックスフントにおいて「炎症性結直腸ポリープ」と呼ばれるできものが好発することが報告されています。中高齢の雄によく発生し、血便、しぶり、下痢などの症状が見られます。
原因はまだ解明されていませんが、何らかの免疫異常が関与しているものと考えられています。
治療法としては、まず内科療法としてステロイドや免疫抑制剤を用いた治療を行い、改善が乏しい場合は「直腸粘膜引き抜き術」という方法で治療します。
今回のワンちゃんの場合もミニチュアダックスですので上記の病気の可能性が高いです。

治療を続けても血便が続き改善しない場合、内視鏡検査を一度お受けになるのが良いと思います。
内視鏡検査で診断が可能ですので治らない下痢・血便でお困りの方は当院までご相談ください。


垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻




(神戸市 垂水区 霞ヶ丘 にある 動物病院 です )





 
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胆嚢粘液嚢腫
昨日、胆嚢の「粘液嚢腫」と呼ばれる病気の手術があったので今回はこの件について。
胸が深い犬種(シェルティちゃん)で胆嚢を剥離して摘出する際の難易度がやや高めでしたが問題なく摘出できました。

粘液嚢腫と呼ばれる胆嚢の病気は、シェルティ、コッカー、シュナウザーなどの犬種で10歳前後に多発します。

胆嚢内に泥状の胆泥や胆汁などが蓄積していくと「粘液嚢腫」は発症します。
この疾患になると胆嚢が破裂しやすく、
胆嚢が破裂してしまうと致命的になってしまう可能性があります。

腹部エコー検査で診断でき、
粘液嚢腫と診断された胆嚢は10頭中9頭で胆嚢壁の壊死が認めらていることから胆嚢穿孔や胆嚢破裂の可能性が高く、
無症状で粘液嚢腫が診断された場合は速やかに胆嚢摘出術を実施すべきとも報告されています。

同じ粘液嚢腫であっても、

胆嚢破裂なし、黄疸なしの症例(無症状) ⇒ 死亡率5%未満
胆嚢破裂なし、黄疸ありの症例 ⇒ 死亡率25%程度
胆嚢破裂あり、黄疸ありの症例 ⇒ 死亡率25〜68%程度
胆嚢破裂あり、黄疸あり、膵炎ありの症例 ⇒ 死亡率68%程度
(※手術した場合の成績)

と状態によって手術成績や予後がかなり違います。

無症状の粘液嚢腫でも5日後に胆嚢が破裂するかもしれませんし、7年後に破裂するかもしれません。
いつ重症化するかの予測が困難です。

エコー検査で粘液嚢腫と診断された場合、無症状のうちに摘出するのが長期的にみて良いかもしれません。


↑摘出した胆嚢(中身は入っていません)

垂水オアシス動物病院
獣医師・院長 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)
 
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 10:50 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
腹水貯留
先日、「食欲はあるけれど何だか様子がおかしい…・。お腹が張っている気がする。」
という主訴で小型犬のワンちゃんが来院されました。

触診をしてみると身体は痩せているのに、
お腹がパンパンに張っています。

さっそく、エコー検査で腹水貯留を確認後、腹水を抜去しました。

↑体重が5堋度のワンちゃんに腹水が1000ml以上溜まっていました。
だいぶ体が重かったのか、水を抜いたあとはとても活発になりました。

こういった腹水貯留の原因には、

・うっ血性心不全
・低たんぱく血症(肝臓、腎臓、消化器にトラブル)
・腹膜炎
・腹腔内腫瘍
・腹腔内出血

などが考えられ、原因を血液検査、尿検査、内視鏡検査、エコー検査、X線検査などで突き止めていくことが必要です。

今回の子の場合は、消化管の異常が第一に考えられます。
内視鏡検査と組織検査の結果「リンパ管拡張症」と診断され、
治療を行うと腹水の貯留も無くなりました。


↑内視鏡を十二指腸に挿入し、腸粘膜を取って組織を調べます

背中は痩せているがお腹は張っている場合には腹水貯留の可能性が高いので、
変だなと思ったら早めに調べた方が良いと思います。

垂水オアシス動物病院
獣医師・院長 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)

| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 18:18 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
巨大食道症
「2日前からゲホッと水や泡を吐く」という主訴で来院されたワンちゃんがいました。

症状から異物が食道に詰まっている、もしくは食道の異常を疑い内視鏡検査(胃カメラ)を実施しました。
カメラを挿入していっても食道、胃、十二指腸に異物や異常は認められませんでした。

翌日にも吐き気が続くことから、巨大食道症を疑いバリウム造影検査を行いました。

すると…
食道が拡張している所見がありこれから巨大食道症と診断されます。

 
↑食道が拡張しています


巨大食道症とは、食道の拡張、食道の蠕動運動の消失などを示す、一連の症候群です。

「◎巨大食道症とは?」

【原因】 先天性と後天性に分けられます。

★先天性巨大食道…原因は不明です。

★後天性巨大食道…重症筋無力症(約25%)、副腎皮質機能不全、食道炎、筋障害・神経障害(甲状腺機能低下症)、全身性紅斑性狼瘡、鉛中毒、シャーガス病、犬ジステンパー、皮膚筋炎、自律神経障害、特発性などが原因となって発症します。主に犬に認められます。

【症状】

主に認められる症状は嘔吐ではなく、吐出です。体重減少を伴っていることもあります。また、吸引性の気管支炎や肺炎を起こしている場合、発咳などの症状が認められることもあります。

【診断】

最初に症状が吐出であろうと推測します。続いてレントゲン造影検査や内視鏡検査で閉塞性ではない食道拡張を確認します。また、後天性食道拡張では、その原因を調べることが重要です。原因を調べていっても不明の場合は、特発性後天性巨大食道と呼ばれます。

【治療】

先天性の場合、現在のところ内科的に治療することは不可能です。後天性で、原因が分かっているものは原因に対する治療を行うことで改善します。内科療法としては腸管運動亢進剤を投与することによって改善することもあります。

※いずれの場合でも食餌管理が大切になってきます。この病気の動物に食餌を与えるときは高い台を利用して後肢で立たせ、液状〜半流動の食餌を食べさせます。この状態では、食塊は重力によって食道を通過し、胃に到達しやすくなります。この状態を510分間維持する必要があります。


ゲホッと吐くなどの症状が続く場合は、
嘔吐ではなく食道に問題があるかもしれません。
変な症状が続くようなら動物病院へご相談下さい。

垂水オアシス動物病院
獣医師・院長 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)

| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 11:46 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
胆石症
 

胆嚢の中に石が出来ているダックスちゃんの胆石摘出手術を行いました。

健康診断でエコー検査をしていると、
胆嚢という袋の中に「胆泥」という泥状の物質や、今回のような「胆石」という石が偶然見つかることがあります。

そのまま放置しても問題無く過ごせるケースが多いのですが、
自然に治ることは無く、胆石が詰まり急変してしまったりすることも有りうるので
今回は飼主さんとご相談の結果、胆石を摘出することになりました。

胆石になる前の胆泥の段階であれば、
投薬などの内科的な治療で改善させることも可能ですので、
半年〜1年に1回は定期的な健康診断を行い予防していくことが推奨されています。
ご希望の方はスタッフまでご相談下さい。

垂水オアシス動物病院
獣医師・院長 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)



 
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 11:55 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
肛門腺の破裂
 肛門腺が破裂した子が来院されたので今回はこの病気について。
肛門腺とは肛門の5時と8時の方向に位置する一対の嚢で、これが感染したりすると破裂したり膿が出てきたりします。

今回の猫ちゃんは右側の肛門腺が破裂してしまっており痛々しいです…。


↑右側の肛門嚢が破裂しています


この病気は犬によく見られますが、猫にも発生します。
孔が開いてしまった場合は、洗浄や消毒をした後に抗生物質を使うと数日〜1週間程度で改善してきて治ります。

無治療でいると、化膿して元気・食欲が無くなったり、化膿してなかなか治らないこともあるので、
お尻周りを気にしているようであれば動物病院へ早めに連れて行ってあげてください。


垂水オアシス動物病院
獣医師・院長 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)




| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 19:47 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
会陰ヘルニア
 少し前に両側性の「会陰ヘルニア」の手術があったので今回はこの事について。
会陰ヘルニアは徐々に進行していき、最後には便が出なくなったり、尿が出なくなったりして危険な状態になってしまうことがあるやっかいな病気です。

下の画像は手術前と手術後のものです。


↑【手術前】尿道に管を入れて造影剤を流しています。膀胱と前立腺がだいぶ後ろ側に変位しているのが分かります。


↑【手術後】前立腺と直腸をお腹に固定し、ヘルニア孔を塞いだところヘルニアは無くなりました。

↑会陰ヘルニアの手術後の様子(注意:術後の画像です)


以前にも書いたことがありますが、
会陰ヘルニアとは肛門周囲の筋肉が高齢になると薄くなってきてしまい孔が開き、腸や膀胱などの内臓が孔を通って肛門の横から飛び出てきてしまう病気です。会陰ヘルニアは去勢手術をしていない雄犬に高い確率で起こります(去勢手術をしている子や、女の子のワンちゃんはまずならないです)。

原因
会陰ヘルニアは去勢手術をしていない高齢の雄犬によくみられ、雄性ホルモンが影響している可能性が高いといわれています。おとなしい子でも起こりますし、特によく吠えるワンちゃんでよく見かけることが多いです。

症状
会陰ヘルニアになると排便時のいきみ(うんちが出にくい)、しぶり、排便困難、排尿困難などの症状がみられます。またお尻の横が腫れているのがわかります。

治療
手術でお尻周りの筋肉を修復して孔を塞ぎます。色々な手術の方法があり状況により適宜使い分けます。今回のワンちゃんは「内閉鎖筋フラップ法」という再発率が低い方法と、前立腺と直腸を腹壁に固定する方法を組み合わせて実施しています。


この病気になると便が出なくて苦しい思いをすることが多く、飼い主さんが定期的に浣腸や便をかき出したりしないといけません。高齢になってから定期的に便をかき出さないといけないのは動物も飼い主さんも大変ですので手術になるケースが多く見られます。

会陰ヘルニアでお困りの方はご相談ください。
予防の為にも高齢になる前の若いうちに去勢手術を済ませておくことをお勧めします。

垂水オアシス動物病院
院長・獣医師 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 09:37 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
会陰ヘルニア
今回は「会陰ヘルニア」について書きます。
大学の研究室に在籍していた時、初めての学会発表のテーマがこの「会陰ヘルニア」という病気でした。少し緊張した記憶あります
また、今年の2月アメリカに外科研修を受けに行った時、手術法について実習を受けた病気です。

会陰ヘルニアとは、去勢手術を受けていない高齢の雄犬に多く発生する病気で、
女の子と、若い時期に去勢手術を受けている子にはほとんどみられません。
ですから発生の予防には、去勢手術が有効です。

高齢になると雄性ホルモンの影響でお尻周辺の筋肉が脆弱になり、肛門周囲から腸や前立腺、膀胱などが脱出してきます。そうなると…、うんちが出ない、尿が出ないなどの症状が出てきて、無処置でいると死亡してしまうことが有ります。

この病気にはいくつかの術式があります。当院では再発率の低い内閉鎖筋を使った術式を採用しています。

高齢の雄犬のワンちゃんで、お尻周りが腫れていたり、いきみが見られるようであればこの病気かもしれません。判断しずらいことも多いですので、動物病院で身体検査を受けさせてあげてください。


垂水オアシス動物病院
院長 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)

| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 18:21 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
肝外胆道系疾患
最近、胆嚢疾患に罹患した子が立て続けに来院されました。
いつものことながらなぜか同じような病気の子が立て続けに来院されます。

胆嚢とは胆汁という肝臓で作られた消化酵素を一時保管している袋状の臓器です。
その胆嚢の中に、胆汁が泥のようになった物が貯まると「胆泥症」、石が貯まると「胆石症」、ゼリー状のものが貯まると「胆嚢粘液嚢腫」、胆嚢が破れていれば「胆嚢破裂」と診断されます。

胆嚢内に胆泥がたまる「胆泥症」などの胆嚢疾患はエコー検査でよく見つかる疾患ですが、
今回のように胆嚢が破裂したり、胆石が詰まることはそれほどは多くはありません。

胆泥・胆石症
大多数の胆泥・胆石症をもつ動物は無症状で、超音波検査で発見されることが多いです。
無症状の胆泥・胆石症の場合、内服薬で経過観察をしていき、一生問題なく過ごせることも多いのですが胆石が詰まると手術で石を摘出することになります。しかし、胆石が詰まって黄疸が出てからの手術では死亡率が30%と高くなるため注意が必要です。

胆嚢粘液嚢腫
エコー検査で胆嚢の中身が特徴的な星形(キウィフルーツ型)にみえるとこの病気が診断できます。
粘液嚢腫になると胆嚢壁が壊死して容易に破裂する可能性が高いため診断後早めに胆嚢を摘出する必要があります。

いずれの病気でも突然胆嚢が破裂してしまい、胆汁性腹膜炎が起こると手術したとしても死亡率が68%と高くなることが報告されています。また急性膵炎が合併していた場合の死亡率は50%と報告されており比較的致死率の高いこわい疾患です。

今回の子たちのケースでは胆嚢破裂や胆石が胆管に詰まってしまっていました。
胆嚢破裂の子の中には体力が持たず残念ながら救命することができない子もいました。
胆石の子は石を摘出すると黄疸が数日で解消されましたが、膵炎も併発しており腹膜炎のため3週間ぐらい入院しての術後管理が必要になりました。現在、奇跡的な復活をみせて順調に回復してきてくれているので本当によかったです


今回、人体用のJ−VACドレナージシステムという排液をさせるためのチューブを使って腹膜炎の管理をしていたのですが、途中で閉塞することもなくとても使いやすく便利でした。
新しい医療機器も積極的に導入していきたいと考えております。



胆嚢疾患は血液検査だけでは見逃される恐れが多くエコー検査が必要になります。
(※エコー検査も完全ではなく壊死性胆嚢炎などでは胆嚢が破裂してからでないと診断がつかないこともありえます)

特に胆嚢粘液嚢腫は胆嚢が破裂する前に診断できれば、救命することが可能なので中高齢になったら健康診断で定期的なエコー検査を受けることをお勧めします。

垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻


 
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 09:32 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
肛門嚢破裂
今日は肛門腺が破裂したわんちゃんを診察する機会があったのでこの病気について。

わんちゃん、猫ちゃんを飼われている飼主さんでも意外と知らないことが多い部位があります。
それが「肛門嚢」という場所です。
肛門を中心に考え、時計の針でいうと、「4時」と「8時」の方向に肛門嚢が存在しており、
この袋の中に臭いのきつい分泌物が入っています。

これが自然に出てくれているうちは良いのですが、出ないと破裂して化膿してしまうことがあります。
そのため、定期的に肛門腺を絞ってあげた方が良いのです。

お尻をこすり付けたり気にしているようであれば、肛門腺の疾患も疑われますので破裂する前に
早めに来院してください。



↑4時方向にある肛門腺が破裂し孔が開いています。痛そうです…


垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)

| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 18:07 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
猫の巨大結腸症
 猫の巨大結腸症は便が結腸内に貯まり排泄できなくなる病気です。
詳しい原因は不明ですが、結腸の運動性の低下が原因になっていると考えられており、
幅広い年齢の猫に起こります。(1〜15歳)

今回来院された猫ちゃんは以前から便秘が続いており、最近は何日か便が全く出ず、食餌も全く食べないとのことでした。
巨大結腸症以外の基礎疾患が無いか確認した後、
点滴をして脱水症状を改善し全身麻酔下で便をかきだします。

その後は、腸を動かす内服薬や、便を柔らかくする処方食、便軟化剤などを併用して様子を見ていきます。
このような内科的な治療を継続すれば便がスムーズに出て維持できるケースもありますが、便が出なくなることを何回も繰り返す場合もあります。
このような場合に改善させるためには、外科的に拡張した結腸を一部摘出することが必要になります。

今回の猫ちゃんの場合は、便をかきだした後は順調に食餌を食べるようになり回復してきました。
あとは便軟化剤で維持していくことが出来るかどうか…です。
猫ちゃんの調子が良いままで続きますように…。

↑Before(巨大結腸症のため結腸内に便塊が貯まっています。辛そうです)




↑After(結腸内の便が無くなりすっきりです)

垂水オアシス動物病院
獣医師・院長 井尻

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 19:08 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
IBD(炎症性腸疾患)
 1ヶ月以上前からひどい水様下痢が続き、元気・食欲も無く吐いてぐったりして痩せてきている9歳のワンちゃんが来院されました。
飼主さんは「もう少ししたら自然に回復するだろう」と1ヶ月間様子をみておられたそうなのですがまったく改善しなかったそうです。だいぶ栄養状態も悪くなってきていたのでもう少し来院が遅れると危なかったです

こういった慢性の消化器症状を引き起こす原因としては、

・慢性炎症性小腸疾患(炎症性腸疾患、IBD、リンパ管拡張症など)
・腫瘍
・細菌の過剰増殖
・ジアルジア(寄生虫感染)
・異物
・膵炎
・膵外分泌機能不全
・肝胆道系疾患

などが考えられます。

今回の子の場合、原因をつきとめるため各種検査をした後、最終的に病理検査で腸の組織を一部とって調べてみると、
診断は「重度のリンパ球形質細胞性腸炎」というものでした。

これは炎症性腸疾患(IBD)と呼ばれるものと同じ病気で、組織的な炎症(好中球、リンパ球、好酸球、肉芽腫性)と、胃腸症状(嘔吐、下痢、食欲不振、体重減少)を特徴とする胃腸疾患です。

犬のIBDの原因は未だはっきりしていませんが、現在は遺伝的なもの、環境要因、免疫系などが相互作用し、多要因的に起こると考えられています。
治療はアレルゲンの入っていない処方食、抗炎症薬、抗菌剤などを用いて治療していきます。

現在では、だいぶ便も固まり食欲も出てきてホッと一息です。

高齢の子で吐いたり痩せてくる場合、腸にできる腫瘍が原因になっていることも多いので様子がおかしければ早めに動物病院へご相談下さい。

垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻

| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 18:12 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
粘液嚢腫
昨日、胆嚢にできた「粘液嚢腫」の手術があったので今回はこの病気について。

粘液嚢腫
(ねんえきのうしゅ)はシェルティ、コッカー、シュナウザー、他の犬種にもよく見られる病気です。胆嚢(たんのう)は肝臓で作られる消化酵素である胆汁を蓄える役割をする臓器です。

正常だと胆嚢の中にはサラサラの胆汁が貯まっているのですが、
この病気になると濃縮した半固形状の胆泥あるいは胆汁などのドロドロした粘液が蓄積してきます(粘液嚢腫が発生)。

粘液嚢腫になると、胆嚢が拡張して血行を遮断→胆嚢壁が壊死→胆嚢破裂してしまう場合があります。

原因
ホルモンの異常、ステロイド投与、胆嚢運動性の低下などが考えられていますが、詳細は明らかにはなっていません。

症状
嘔吐、食欲不振、元気低下など。粘液嚢腫になると、腹部エコー検査で特徴的な「キウィフルーツ状」の放射状の星形のようなパターンが認められます(下画像:今回の症状の胆嚢)。

 

治療
胆嚢摘出術を行います。
粘液嚢腫の胆嚢の組織検査で10頭中9頭で胆嚢壁の壊死が認められていることから、胆嚢穿孔・胆嚢破裂が簡単に発生する可能性が高いと言われています。

予後
もし胆嚢破裂によって腹膜炎が合併している場合、手術を実施したとしても死亡率は68%と報告されています。無症状で粘液嚢腫が診断できたならば、早めに胆嚢摘出術を実施することが推奨されます。

今回手術したわんちゃんは5歳のシェルティの女の子でした。
食欲が低下している以外に明らかな症状が無かったため、飼主さんも手術するか迷われていました。しかし、胆嚢破裂によって突然死の発生も十分起こりうるので今回手術をすることになりました。
幸い手術は無事に終了し食欲も出て回復してきています。


↑摘出した胆嚢(注:手術の画像です)


↑摘出した胆嚢を割っています(注:手術の画像です)

こういった胆嚢の疾患はエコー検査の普及に伴い、診断されることが増えてきています。
また食生活の変化や動物の高齢化に伴い、当院でも胆嚢関係の病気(胆泥症、胆石症、粘液嚢腫など)を診断することが激増しています。

その中でも粘液嚢腫は破裂すると突然死してしまう危険性の高い病気であることから、
症状が出ないうちに健康診断でエコー検査をして年に1回程度は胆嚢の様子も見ておかれた方がよいでしょう。


垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 17:10 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
腸重積
腸重積のワンちゃんが立て続けに来院されました。
教科書にもよく載っている有名な症状なのですが、比較的珍しい病気です。

皮膚病で通院中のミニチュアダックスフントちゃんで最近「少しお腹が張っていて様子がおかしい気がする」と飼い主さんがおっしゃっていました。皮膚病の治療で来院されたのですが
念のため詳しく見てみると…腸が2重丸のようなエコー所見が見つかりました(腸重積の所見)。
そして飼い主さんと相談の結果、緊急で開腹手術をすることになりました。
お腹を開けると1か所、回盲部で腸が重積していたので整復しその後再発もなく無事退院して元気にお家に帰っていってくれました

またある子はMIXの子で嘔吐がひどく下痢もみられ来院されました。
エコー検査で調べてみると腸が2重丸のような所見が見られ緊急手術になり、整復後この子も無事元気に退院していってくれました。

腸重積は無治療で長時間放置しておくと、最悪のケースでは腸が壊死してしまい急変する可能性がある病気です。様子がおかしければ早めの治療が必要になるので下痢や嘔吐などが続きいつもと様子がおかしければ動物病院へ連れていってあげて下さい。

 補足
腸重積は腸の中に腸が入り込んでしまう状態をいいます。
原因は不明の事が多いのですが、腸炎や腸の内腔にできた腫瘍・ポリープなどが原因になって発生することもあります。腸重積は若い動物の回腸・盲腸接合部付近に起こることがとても多く1歳未満の動物で発生することが大多数です。

症状は
嘔吐、腹部痛、血様粘液便の排泄、痛みのある腹部腫瘤が触れるなどの症状が見られます。

診断は
超音波検査やバリウム造影検査で診断することができます。

治療は
手術をして腸の重積部分を整復します。その後の再発予防のために腸同士をアコーディオン状のひだ状に縫い合わせます。 

↓今回の手術中の動画です(手術の動画の為苦手な方は気を付けて下さい)。



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| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 10:11 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
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