神戸市垂水区霞ケ丘の垂水オアシス動物病院は人間と動物の絆を大切にする診療を心がけています。

オアシス便り
犬の副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

こんにちは。本州でも高山に雪帽子をかぶった姿がポツポツ届き、冬の訪れを感じています。

 

今日は『犬のクッシング症候群』について少しご紹介したいと思います。

多飲、多尿、多食、パンティング、腹囲膨満、内分泌性脱毛、筋力低下、嗜眠などが一般的によく認められる症状で、一見病気には見えないことが多い病気です。

 

これはグルココルチコイドが過剰になっている病気で、

下垂体依存性副腎皮質機能亢進症:下垂体からの過剰なホルモン(ACTH)分泌が原因で、副腎からコルチゾルが過剰に出ている場合

原発性副腎皮質機能亢進症:副腎腫瘍が原因で副腎からコルチゾルが過剰に出ている場合

異所性ACTH分泌腫瘍

医原性:獣医師もしくは飼主さまによるグルココルチコイドの過剰投与による場合

という原因に分けられますが、犬のクッシング症候群の多く(80〜85%)は,稜床漆眤里瞭睚泌障害によって生じています。

 

,原因の場合、ヨーロッパの獣医大学病院では手術により下垂体腫瘍の摘出を第一選択としているようですが、下垂体由来のすべてのホルモンが消失するので大規模な補助療法が必要になります。侵襲も大きいですし、日本国内では大半が内服薬により治療し症状をコントロールしています。

 

慢性的に過剰なグルココルチコイドは、脳、筋肉、皮膚、血管系、腎臓、肝臓、骨格を含む多くの組織の代謝に悪影響を与えます。中でもコルチゾルはインスリン抵抗性を増強させるために二次的に糖尿病を引き起こすこともあり、そうなると結構ややこしい治療となります。また、最も厄介なものとして血栓症(肺血栓塞栓症など)発症要因リスクが高まり、発症してしまうと予後はかなり危ぶまれます。

診断には、症状の聴取の他に血液検査や内分泌検査、画像検査などを総合的に判断する必要があります。

診断をきちんとつけた上で、治療内容やリスクなどを納得いただければ治療開始となります。

 

お腹が膨れている、飲水量が増えた、対称性の脱毛がある、感染症がなかなか治らない、いやしいくらい何でもガツガツよく食べる…などなど気になることがある飼主さまは、お気軽にご相談ください。

 

⇒副腎(左側)のエコー画像です。ほとんどの犬ではこの半分以下くらいの大きさですが、この患者さんは両側性に腫大していました。現在は内服薬で良好に維持されています。このまま何事もなく良い時間が長く過ごせて天命を真っ当できますように祈り星

 

垂水オアシス動物病院

勤務獣医師 高瀬

 

 

 

 

 

| tarumioasis2 | 内分泌疾患 | 12:19 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
犬のアジソン病(副腎皮質機能低下症)

6月末の話にはなりますが、少し珍しい病気のワンちゃんのお話をご紹介します。

1週間くらい前から食欲が低下し元気までなくなってきたとのことで、来院された4歳のトイ・プードルさん(女の子リボン)です。お水はよく飲んでいるとのことでした。

 

いつもトリミングなどの時には、しっぱをよく振ってくれる友好的な印象があるLちゃん。でも、この日は診察台の上でも伏せをして何だかだるそうです。特にそれ以外の症状はないため、どうしたものかと悩んでいましたが、目にみえない異常がある可能性もあるためにお預かりで検査を受けられることになりました。

 

すると、血液検査で電解質の異常(Na 133mEq, K 6.1mEq, Cl 108mEq)や尿素窒素の高値(BUN 59mg/dl)などに加え、レントゲン検査では心臓や肝臓が小さくなっています。エコー検査では『副腎』という臓器も3mm以下と小さくなっていました。ここまでの検査でホルモンの病気が疑われ、循環血液量が減っている危険な状況である可能性が高いために、入院下で静脈点滴や電解質の改善を目的とした注射薬を使う治療と、さらなる検査(ホルモン検査)をすることに…。

 

その結果『アジソン病』という、副腎からミネラルコルチコイドやグルココルチコイドが分泌されなくなってしまう病気であることが分かりました。

 

2日間入院治療して、電解質や尿素窒素が正常範囲になり、少しご飯とお薬を自分で食べることができるようになりました拍手拍手

循環血液量は確保されたようで、レントゲン検査でも心臓や肝臓のサイズは元通りになりました。

 

治療前↓

 

治療後↓

治療後

 

血便が出るかもしれないという心配事はありましたが、病院だとあまり眠れていなかったということもあり、一度家でリラックスして頂くために夜はご自宅で休んでもらうことになりました夜

 

その後、一度血便が出ましたが2日ほどかけて食欲はすっかり元に戻り、元気がなかったのも2〜3週間目でやっと本調子に戻りました。この病気は完治することはなく一生涯お薬が必要な病気ではありますが、この時連れてきてもらえていなければ命をなくしていた可能性が高い、時に緊急的な処置が必要な病気でもあります。

 

この子のように、「夏バテかもしれないけれど、若いし水は飲んでいるから大丈夫!」という訳ではない場合もあります…。

ひっかかる事がある場合は、あまり待たずにご相談下さいね犬犬

 

垂水オアシス動物病院

勤務獣医師 高瀬

| tarumioasis2 | 内分泌疾患 | 11:55 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
甲状腺機能低下症による脱毛が改善したプードルさん
こんばんは。熊本の震災からもうすぐ1週間が経とうとしていますが、未だ先の見通しが立たず避難生活をされている方々や家族とはぐれてしまった動物をニュースでみると何とも居たたまれない気持ちになります。(何かできないかと検索中であります。)1人でも多くの方々の救出と1日も早い復興をお祈りします。

さて、
今日は 『毛が抜けて何となく覇気がなかった』 Yくん をご紹介します。
冬の健康診断に加えてホルモン検査や皮膚の検査をうけられ、【甲状腺機能低下症】という病気にかかっていることがわかったプードルさんです。

治療前の顔治療前の全身治療前の尾全身の毛が薄く、しっぽの毛は無くなって色素がついています。そして何となく悲しそうな顔をしています。
   ↓ ↓ ↓
その後、レボチロキシン(合成の甲状腺ホルモン製剤)を飲んでもらって約3か月経った今は、
治療後の顔治療後の全身治療後の尾トリミングとの相乗効果もあり、見違える状態の皮膚に変身しました犬

甲状腺ホルモンは多くの組織にその受容体が存在するために、全身に影響を及ぼしますが、特に無気力や徐脈、肥満や貧血(非再生性)の他に、皮膚の症状(かゆみを伴わない左右対称性の脱毛、メラニン過形成、落屑)を伴う子も割といるように思います。Yくんもそうですが、ある程度年を重ねてから発症する場合には、お薬を飲んでもらうと予後は良好で、通常皮膚症状の改善は6〜12週以内に認められます。Yくんもピッタリ3か月!!ただお薬は続けないとなりません。

被災地にお住いの慢性疾患に罹患されお薬が必要な方々やペット達もたくさんいらっしゃるとお察しします。そのような方々の手元に早くお薬が届けられますように…星星

垂水オアシス動物病院
獣医師 高瀬奈美
| tarumioasis2 | 内分泌疾患 | 19:58 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
内分泌学のさわり(糖尿病)
 低気圧の影響で、全国的に強い寒気に見舞われましたが、そんな中19-21日の3日間大阪(天満)に、アイルランドから遥々Shiel先生が『犬と猫の内分泌』について講演するために来日されました。ダブリン大学の獣医内分泌学を専門に診察されている先生で、日頃疑問に思っていることも丁寧に教えて下さり、大変有意義な時間を過ごすことができました。お休み頂きありがとうございました女

 内分泌学と言っても幅広く小難しいイメージをお持ちになる方が多いのではないでしょうか。馴染みのある病気として『糖尿病』があり、ヒトでは生活習慣病の代表的な病気としても知られていると思います。この病気が分かったのはそんなに昔のことではありませんが、とある外国のお医者さんがイヌの膵臓を実験的に取り除いたらおしっこの中に糖が出たというところから発見された病気なのです。(「インシュリン物語」より)実験と臨床とはまた異なりますが、犬の糖尿病においてはインスリン依存性であることの方が多く、インスリン依存性であった場合(つまりインスリンが出なくて糖尿病になっている)は、ヒトと同様にインスリン製剤を用いて治療します。糖尿病の時にコルチゾールやその他成長ホルモンが過剰に分泌されている状態が同時に発生しているとコントロールが難しいのですが、基本的にインスリン治療が奏功すると長期間生存することが可能です。

 猫の場合はインスリンを途中でやめて食餌管理と体重管理、生活の中に運動を組み込むことで問題なく生活できる子もいますが、そうでなければ基本的に毎日飼主様にインスリンをご自宅で注射して頂かなくてはなりません。注射を上手く生活の一部に取り入れる習慣ができていらっしゃる飼主様もおられますが、・・・やっぱり大変ですよね。

 原因に遺伝的素因やその他の原因もあるので一概には言えませんが、やっぱり運動不足や肥満体質の子がなりやすいと思いますので、徐々に体重が増えてしまっているというワンさんネコさん、体重管理を頑張ってみましょうか犬猫

と、秋以降食欲が増してまして・・・という自分にも言い聞かせてみました。

垂水オアシス動物病院 
勤務獣医師 高瀬

 
 
| tarumioasis2 | 内分泌疾患 | 17:17 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
糖尿病

もうすぐ4月です。新年度が始まり新しい季節がやってきますね。
気温の差が大きいですので人も動物たちも体調には気を付けましょう。

さて、このところ糖尿病を診断することがよくあります。
人でも糖尿病は多いそうですが、動物たちの世界でも例外ではありません。
典型的な症状は、多飲、多尿、多食、体重減少ですのでこのような症状があれば要注意です。
人と同様にインスリン注射をしていくことで状態が落ち着き、場合によってはインスリンが不要になることもあります。
多飲、多尿、体重減少などの症状があるワンちゃん、猫ちゃんは一度、血液検査、尿検査を受けさせてあげてください。
また、太り過ぎなど食生活には気を付けましょう。

垂水オアシス動物病院
獣医師・院長 井尻

| tarumioasis2 | 内分泌疾患 | 18:37 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
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