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オアシス便り
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FIP(猫コロナウイルス、猫伝染性腹膜炎)の新薬

猫伝染性腹膜炎(FIP)という病気をご存じでしょうか?

 

こちらの病気、ペットショップさんやブリーダーさんの所からお家へやってきてすぐの

かわいい盛りの子猫ちゃんに発症することが多いやっかいな病気です。

 

このところヒトで流行中の新型コロナウイルスと同じく、

コロナウイルス科の猫コロナウイルスに分類されます。

 

猫コロナウイルスの中でも、

こちらの強毒性に変異した「猫伝染性腹膜炎ウイルス:FIPウイルス」は感染すると、

治療を行っても徐々に腹水が貯まってきて、最終的にほぼ100%が死亡する致死性の高い疾患であり、

治療に当たった経験のある獣医師であれば、FIPは「不治の病」というイメージを持っている人が多いと思います。

 

その現代の獣医学では不治の病だと思われていたFIPがなんと「治った」という論文がアメリカのカリフォルニア大学デービス校から2019年2月に出されています。

 

こちらの論文によると、

治療を行った31匹のFIP猫のうち、25匹が治癒し健康を取り戻したとのこと。

 

このように、

かなりFIPの治療に期待できる結果が出ているのですが、

 

まだ、たった31匹に投与しての結果ですし、

薬が正式に認可されて発売されるのは先の話かもしれません。

 

 

以下、その論文の概要です。


Efficacy and safety of the nucleoside analog GS-441524 for treatment of cats with naturally occurring feline infectious peritonitis

 

自然発生したネコ伝染性腹膜炎の猫の治療のためのヌクレオシド類似体GS-441524の有効性と安全性
Niels C Pedersen, Michel Perron, Michael Bannasch, Elizabeth Montgomery, Eisuke Murakami, Molly Liepnieks, Hongwei Liu

 

 

Abstract

概要


Objectives

目的
The aim of this study was to determine the safety and efficacy of the nucleoside analog GS-441524 for cats suffering from various forms of naturally acquired feline infectious peritonitis (FIP).

この研究の目的は、さまざまな形態の自然に獲得されたネコ伝染性腹膜炎(FIP)に苦しむ猫のためのヌクレオシドアナログGS-441524の安全性と有効性を決定することである。

 

Methods

方法
Cats ranged from 3.4–73 months of age (mean 13.6 months); 26 had effusive or dry-to-effusive FIP and five had non-effusive disease. Cats with severe neurological and ocular FIP were not recruited. The group was started on GS-441524 at a dosage of 2.0 mg/kg SC q24h for at least 12 weeks and increased when indicated to 4.0 mg/kg SC q24h.

猫の年齢は3.4〜73か月(平均13.6か月)でした。26匹はウエットタイプまたはドライからウエットタイプのFIPであり、5匹は非ウエットタイプでした。重度の神経および眼症状のあるFIPの猫は用いられませんでした。グループは、GS-441524を2.0 mg / kg SC 24hの投与量で少なくとも12週間開始し、4.0 mg / kg SC q24hに指示されたときに増加しました。

 

Results

結果
Four of the 31 cats that presented with severe disease died or were euthanized within 2–5 days and a fifth cat after 26 days. The 26 remaining cats completed the planned 12 weeks or more of treatment. Eighteen of these 26 cats remain healthy at the time of publication (OnlineFirst, February 2019) after one round of treatment, while eight others suffered disease relapses within 3–84 days. Six of the relapses were non-neurological and two neurological. Three of the eight relapsing cats were treated again at the same dosage, while five cats had the dosage increased from 2.0 to 4.0 mg/kg q24h. The five cats treated a second time at the higher dosage, including one with neurological disease, responded well and also remain healthy at the time of publication. However, one of the three cats re-treated at the original lower dosage relapsed with neurological disease and was euthanized, while the two remaining cats responded favorably but relapsed a second time. These two cats were successfully treated a third time at the higher dosage, producing 25 long-time survivors. One of the 25 successfully treated cats was subsequently euthanized due to presumably unrelated heart disease, while 24 remain healthy.

重度の疾患を呈した31匹の猫のうち4匹が2〜5日以内に死亡、または安楽死させられ、26日後に5匹目の猫が死亡した。残りの26匹の猫は、計画された12週間以上の治療を完了しました。これらの26匹の猫のうち18匹は、1回の治療後に論文発表時(2019年2月の論文発表時点)では健康を維持し、他の8匹は3〜84日以内に病気が再発した。再発したうちの6匹は神経症状は無く、2匹は神経症状があった。8匹の再発した猫のうち3匹が同じ投与量で再び治療され、5匹の猫は2.0〜4.0 mg/kg/24時間毎に投与量を増加した。神経症状のある1匹を含む5匹のネコは、高用量で2回目の治療をされ、反応がよく、論文発表時点でも健康でした。しかしながら、低用量で再治療した3匹の猫のうち1匹は神経疾患が再発して安楽死させられた一方、残りの2匹は良好に反応したが、再度再発した。これらの2匹の猫は高用量での3回目の治療に成功し、25匹は長期生存することができた。正常に治療された25匹の猫のうち1匹は、おそらく無関係な心臓病のために安楽死され、24匹は健康なままでした。

Conclusions 

結論
GS-441524 was shown to be a safe and effective treatment for FIP. The optimum dosage was found to be 4.0 mg/kg SC q24h for at least 12 weeks.

GS-441524は、FIPに対して安全で効果的な治療法であることが示されました。最適な投与量は、少なくとも12週間、4.0 mg / kg SC q24hであることがわかった。


 

現状では正式に認可を取った薬は存在せず、

効くも、効かないも、副作用も、自己責任の世界ではありますが、

こちらの成分が入っているのではないかというお薬【※サプリメントとしての扱い(MUTIAN)】を中国から送ってもらい投与されている飼い主さんもおられるみたいです。

 

当院でも、

こちらの治療を試されたい方は、

MUTIAN協力動物病院ではありませんが、その間のフォローをさせて頂くことは可能です。

 

とにかく早く、

効果的な治療法やお薬が正規のルートで開発・販売され、

世の中に広がることを願います。

 

垂水オアシス動物病院

獣医師 井尻

 

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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