神戸市垂水区霞ケ丘の垂水オアシス動物病院は人間と動物の絆を大切にする診療を心がけています。

オアシス便り
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肛門周囲の腫瘍(犬のお尻周りのできもの)

先日、お尻の周囲に腫瘍ができた犬が来院されたのでこの件について。

 

 

犬のお尻の周りに腫瘍(できもの)ができることは意外と多くあります。

 

お尻周りに腫瘍ができた場合、

このまま様子を見ていいものか…、それとも治療を受けた方が良いものか…、

悩まれる方が多いのではないでしょうか。

 

今回は犬のお尻周りに腫瘍ができた場合に、

これはどういったものなのか、どうすれば良いのか等を解説していきます。

 

先に結論から申しますと、

肛門周囲の腫瘍が大きくなる前に何とかした方が良いです。

※腫瘍が大きくなってからの手術では、

手遅れになってしまったり、

肛門括約筋ごと摘出が必要になることがあり、

便失禁などが術後も継続する可能性が出てきてしまいます。

簡単に摘出できる腫瘍が小さいうちに動物病院で治療をして貰いましょう。

 


 

お尻周りにできる腫瘍についてのデータを詳しくみていきますと、

 

犬の肛門周囲には、肛門周囲腺や肛門嚢アポクリン腺などの分泌腺があるため、

他の部位に比べて、分泌腺の腫瘍が多く発生します。(猫ではまれ)

 

犬の肛門周囲の腫瘍の、雄雌比率は、雄が76.9%雌が23.1%で、雄に多くみられます。

また、統計的には良性腫瘍が63.4%、悪性腫瘍が36.6%と悪性の確率が約37%程度です。

 

良性・悪性腫瘍を含めた腫瘍の種類では、

良性の肛門周囲腺腫が最も多くみられ(58.3%)、

その次に、悪性の肛門周囲腺癌(15%)、肛門嚢腺癌(12.2%)となっています。

(参照:ファームプレス社小動物腫瘍外科2より)

 

去勢手術をしていない雄犬に多いのが「肛門周囲腺腫」と呼ばれる良性腫瘍で、

去勢手術を済ませている雄犬や、雌犬には少ないです。

 

良性の「肛門周囲腺腫」の場合、お尻の周りにできものが出来ますが、急に大きくなることはあまりありません。

悪性の「肛門周囲腺癌」の場合は、急激に大きくなり、腫瘍表面が自壊して出血したりすることがあります。

ただ、見た目等だけで判別することは困難なことが多く、組織検査などで詳しく調べる必要があります。

 

 

悪性の「肛門嚢腺癌」は、肛門嚢にあるアポクリン腺由来の悪性腫瘍で、

肛門周囲の4時または8時の位置に腫瘍ができます。

リンパ節へ転移したり、ほかの部位に遠隔転移することが多く、

50%以上の転移率があり、1年後の生存率が10%とされています。

腫瘍発生に伴って、高カルシウム血症が認められることもあります。

 


 

動物病院では、

転移の有無、悪性or良性、血液検査上の異常の有無、摘出可能かどうかなどを判断し、

治療可能なものは摘出を行ったり、去勢手術を実施したりします。

 

 

どの腫瘍も早めに対処すれば比較的簡単に摘出可能なケースがほとんどなのですが、

放置すると徐々に大きくなりどんどん摘出が難しくなるため、

お尻周りの腫瘍に気が付いたら早めに動物病院で診て貰ってください。

 

垂水オアシス動物病院

獣医師 井尻

 

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)

 

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