神戸市垂水区霞ケ丘の垂水オアシス動物病院は人間と動物の絆を大切にする診療を心がけています。

オアシス便り
<< 変性性脊髄症 | main | 椎間板ヘルニア パート2(術後3日目) >>
粘液嚢腫
昨日、胆嚢にできた「粘液嚢腫」の手術があったので今回はこの病気について。

粘液嚢腫
(ねんえきのうしゅ)はシェルティ、コッカー、シュナウザー、他の犬種にもよく見られる病気です。胆嚢(たんのう)は肝臓で作られる消化酵素である胆汁を蓄える役割をする臓器です。

正常だと胆嚢の中にはサラサラの胆汁が貯まっているのですが、
この病気になると濃縮した半固形状の胆泥あるいは胆汁などのドロドロした粘液が蓄積してきます(粘液嚢腫が発生)。

粘液嚢腫になると、胆嚢が拡張して血行を遮断→胆嚢壁が壊死→胆嚢破裂してしまう場合があります。

原因
ホルモンの異常、ステロイド投与、胆嚢運動性の低下などが考えられていますが、詳細は明らかにはなっていません。

症状
嘔吐、食欲不振、元気低下など。粘液嚢腫になると、腹部エコー検査で特徴的な「キウィフルーツ状」の放射状の星形のようなパターンが認められます(下画像:今回の症状の胆嚢)。

 

治療
胆嚢摘出術を行います。
粘液嚢腫の胆嚢の組織検査で10頭中9頭で胆嚢壁の壊死が認められていることから、胆嚢穿孔・胆嚢破裂が簡単に発生する可能性が高いと言われています。

予後
もし胆嚢破裂によって腹膜炎が合併している場合、手術を実施したとしても死亡率は68%と報告されています。無症状で粘液嚢腫が診断できたならば、早めに胆嚢摘出術を実施することが推奨されます。

今回手術したわんちゃんは5歳のシェルティの女の子でした。
食欲が低下している以外に明らかな症状が無かったため、飼主さんも手術するか迷われていました。しかし、胆嚢破裂によって突然死の発生も十分起こりうるので今回手術をすることになりました。
幸い手術は無事に終了し食欲も出て回復してきています。


↑摘出した胆嚢(注:手術の画像です)


↑摘出した胆嚢を割っています(注:手術の画像です)

こういった胆嚢の疾患はエコー検査の普及に伴い、診断されることが増えてきています。
また食生活の変化や動物の高齢化に伴い、当院でも胆嚢関係の病気(胆泥症、胆石症、粘液嚢腫など)を診断することが激増しています。

その中でも粘液嚢腫は破裂すると突然死してしまう危険性の高い病気であることから、
症状が出ないうちに健康診断でエコー検査をして年に1回程度は胆嚢の様子も見ておかれた方がよいでしょう。


垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 17:10 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。
トラックバック
S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930   
<< September 2020 >>
ページのトップへ