神戸市垂水区霞ケ丘の垂水オアシス動物病院は人間と動物の絆を大切にする診療を心がけています。

オアシス便り
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肝外胆道系疾患
最近、胆嚢疾患に罹患した子が立て続けに来院されました。
いつものことながらなぜか同じような病気の子が立て続けに来院されます。

胆嚢とは胆汁という肝臓で作られた消化酵素を一時保管している袋状の臓器です。
その胆嚢の中に、胆汁が泥のようになった物が貯まると「胆泥症」、石が貯まると「胆石症」、ゼリー状のものが貯まると「胆嚢粘液嚢腫」、胆嚢が破れていれば「胆嚢破裂」と診断されます。

胆嚢内に胆泥がたまる「胆泥症」などの胆嚢疾患はエコー検査でよく見つかる疾患ですが、
今回のように胆嚢が破裂したり、胆石が詰まることはそれほどは多くはありません。

胆泥・胆石症
大多数の胆泥・胆石症をもつ動物は無症状で、超音波検査で発見されることが多いです。
無症状の胆泥・胆石症の場合、内服薬で経過観察をしていき、一生問題なく過ごせることも多いのですが胆石が詰まると手術で石を摘出することになります。しかし、胆石が詰まって黄疸が出てからの手術では死亡率が30%と高くなるため注意が必要です。

胆嚢粘液嚢腫
エコー検査で胆嚢の中身が特徴的な星形(キウィフルーツ型)にみえるとこの病気が診断できます。
粘液嚢腫になると胆嚢壁が壊死して容易に破裂する可能性が高いため診断後早めに胆嚢を摘出する必要があります。

いずれの病気でも突然胆嚢が破裂してしまい、胆汁性腹膜炎が起こると手術したとしても死亡率が68%と高くなることが報告されています。また急性膵炎が合併していた場合の死亡率は50%と報告されており比較的致死率の高いこわい疾患です。

今回の子たちのケースでは胆嚢破裂や胆石が胆管に詰まってしまっていました。
胆嚢破裂の子の中には体力が持たず残念ながら救命することができない子もいました。
胆石の子は石を摘出すると黄疸が数日で解消されましたが、膵炎も併発しており腹膜炎のため3週間ぐらい入院しての術後管理が必要になりました。現在、奇跡的な復活をみせて順調に回復してきてくれているので本当によかったです


今回、人体用のJ−VACドレナージシステムという排液をさせるためのチューブを使って腹膜炎の管理をしていたのですが、途中で閉塞することもなくとても使いやすく便利でした。
新しい医療機器も積極的に導入していきたいと考えております。



胆嚢疾患は血液検査だけでは見逃される恐れが多くエコー検査が必要になります。
(※エコー検査も完全ではなく壊死性胆嚢炎などでは胆嚢が破裂してからでないと診断がつかないこともありえます)

特に胆嚢粘液嚢腫は胆嚢が破裂する前に診断できれば、救命することが可能なので中高齢になったら健康診断で定期的なエコー検査を受けることをお勧めします。

垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻


 
| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 09:32 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
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