神戸市垂水区霞ケ丘の垂水オアシス動物病院は人間と動物の絆を大切にする診療を心がけています。

オアシス便り
<< うさぎのツメダニ | main | 脂肪腫 >>
門脈シャント(門脈体循環シャント:PSS)

台風が過ぎたと思ったら、今日はすごい大雨ですね。

さすがに動物病院ものんびりです。

 

昨日は岡山の動物病院さんのところへマイクロCTスキャンの見学へ行って来たのですが、

親切に色々教えて頂いてとても参考になり勉強になりました。

神戸⇔岡山は高速道路で2時間程度で、ドライブには丁度いいくらいの距離だったのですが、

岡山名物?も食べずにとんぼ返りだったので、またリベンジしたいところです。

 

さて、

今回は、門脈体循環シャントという疾患のワンちゃんの診断・治療・手術を行ったのでこの病気について。

 

門脈体循環シャント(PSS)とは、

門脈系の血管と体循環系の血管が短絡(シャント)した状態をいいます。

簡単にいいますと、

腸から流れてきた栄養分が含まれた血液が本来流れていくべき肝臓に流れ込まず処理されずに身体に流れてしまうため、

いろいろな症状が発生します。

 

症状は、

神経系(ふらつき、旋回、発作)消化器系(嘔吐、よだれ)、尿石症、発育不良などが認められ、

一歳未満の若齢で症状がでることが多いと言われていますが、高齢になってから症状がでるケースもあります。

 

国内では好発犬種として、

ヨーキー、シュナウザー、マルチーズ、パピヨン、トイプードルなどに多くみられます。

 

PSSの治療では、

外科的にシャント血管(本来あってはいけない血管)を結紮する必要があります。

PSSが外科的に治療されずに放置されると、肝臓の萎縮や脂肪変性、肝臓組織の線維化がおこり、肝不全に陥るため、

できるだけ早期に手術を実施した方が良いと考えられています。

 

今回のワンちゃんは好発犬種の1歳半くらいのヨークシャテリアでした。

ある日、「急に震えだし、立とうとしても足が絡まって歩けない」という主訴で来院されたので、

門脈シャントを疑い、

血液検査(アンモニア、総胆汁酸測定)や造影CT検査で精査したところ左胃静脈ー横隔膜静脈シャントと診断しました。

 

手術方法はいくつかあり、

糸で短絡血管を結紮(部分結紮、完全結紮)、セロファンでゆっくり結紮、アメロイドコンストリクターで結紮、などがありますが、今回は血管をゆっくりと閉塞させることができるセロファンを用いた手術法で行いました。

 

セロファンバインディングについて(英文サイト)

 

どの方法を選択するかは、手術中に門脈血圧を測定したり、臓器の色をみたり、動脈圧を測定したりして、

総合的に判断する必要があります。

門脈シャントの手術は、最近は術前に造影CTスキャンなどで短絡血管を見つけ、

術前に手術のシュミレーションが可能なため以前に比べるとやり易くなっています。

 

↑※閲覧注意(手術の画像です。苦手な方はご注意ください。)

胃から横隔膜へ向けて異常血管が認められます

 

↑※閲覧注意(手術の画像です。苦手な方はご注意ください。)

鉗子で異常血管を剥離していきます

 

↑門脈造影検査を行うと、左胃〜横隔膜静脈へのシャント血管へ門脈血が流れているのが確認できます。

 

↑※閲覧注意(手術の画像です。苦手な方はご注意ください。)

門脈圧を測定してから、異常血管にセロファンを巻き付け、血管クリップでとめます。

これで4〜5週間程度で血管がゆっくりと閉塞していきます。

 

 

 

↑問題なく麻酔から覚めてくれました。

 

垂水オアシス動物病院

院長 井尻

 

(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)

| tarumioasis2 | 消化器疾患 | 19:23 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.tarumioasis.com/trackback/925
トラックバック
S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< November 2018 >>
ページのトップへ