⇒全耳道切除術と外側鼓室胞骨切り術の 7 つの手順の概要が解説されています。
- 外耳道へのアプローチ:外耳道への初期アプローチ
- 外耳道へのアプローチ:外耳道を解放するための軟部組織の切開
- 外耳道切除術:顔面神経隔離、外耳道切断
- 外側ブラの骨切り術:顔面神経の保護、外側鼓室胞の露出
- 外側ブラ骨切り術:骨性外耳道の腹側骨骨切り、上皮除去
- 外側鼓室胞骨切り術:腹外側鼓膜ブラの除去
- 外側鼓室胞骨切り術:鼓室の探索
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
3/18(月)、3/19(火)は
外科研修に参加のため臨時休診とさせて頂きます。
トリミングやお薬、フードなどのお渡しは通常通り行っております。
大変ご迷惑をお掛け致しますが、ご理解の程よろしくお願い致します。
垂水オアシス動物病院
]]>猫ちゃんの異物誤食事故は犬に比べて少なめではありますが、時々あります。
どんなものを誤食してしまうのかといいますと、毛玉、毛糸、ビニール袋、排水溝ネット、ストッキングなどが多いです。
ここ最近の当院での傾向として多いのは何といっても、「ジョイントマット」です。
ジョイントマットとはホームセンターに売っているパズル式のマットの事で、この嚙み心地が猫ちゃんは大好きで堪らないようです。
マットそっくりの噛むおもちゃ(もちろん消化できる素材のもの)や、オヤツ味のマット(消化できる素材のもの)を開発すれば猫ちゃんに大人気の商品になると思いますので、そのうちどこかの企業によって開発されるのではないかと思っています。
お家にマットを敷いている飼い主様はお気をつけください。
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床敷きとして砂や土、小石、水ゴケなどを入れると床敷きに潜る習性があるためよく利用されていますが、エサを食べる時等に誤食すると消化管を閉塞する可能性があり危険です。
その他、両生類用として販売されているソイルや、ウールマット(熱帯魚のろ過フィルター)を床敷きに利用することもできるため、その方が安全ですし良いと思います。
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今回のケースでは、口を大きく開けて鉗子でつまんで何とか異物を摘出することができたので良かったです。
水槽の中には何も入れない方が安全かも知れませんね。
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井尻
]]>近頃では放し飼いにされている犬はほとんどいないため、犬が交通事故に遭ってしまうケースは少なくなってきています。ただ、突然車道に飛び出してしまったとか、庭から脱出してしまったとかで車に轢かれてしまうことは時々あります。
今回来院されたワンちゃんは、運が悪い事に車道に飛び出してしまい車に轢かれてしまったとのことでした。
早速、レントゲン検査をさせて頂くと…、
骨盤が骨折しており、仙腸関節も脱臼し、尻尾の骨も途中で折れてしまっています。また、腹壁に孔が開いていて内臓が皮下に脱出しています(外傷性腹壁ヘルニア)。
このままではずっと歩けない状況が続いてしまったり、骨盤腔が狭窄してしまい便が出なくなってしまう恐れもあることから、骨盤骨折の整復手術と、仙腸関節脱臼の整復、腹壁ヘルニアの整復手術も同時に行うことになりました。
↑整復後のレントゲン画像。骨盤骨折はプレート法、仙腸関節脱臼はスクリューの長さがやや短いものの2本のスクリューで固定すると術後も問題無く整復できました。
腹壁ヘルニアは、正中で開腹した後に、肋骨の後縁部の腹膜が縦に裂けた部位を吸収糸で縫合してから閉腹しました。
骨盤周囲は筋肉や軟部組織に囲まれて血流が豊富であり癒合不全にはなり難いため、安静にできれば2〜3か月程度で骨癒合が認められます。とても大きな外傷でしたがよく頑張ってくれました。
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獣医師 井尻
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血尿や頻尿がある場合には、膀胱炎や、膀胱結石、腫瘍などが考えられるため、尿検査、エコー検査、レントゲン検査などを実施して診断を進めていきます。
すると…、
膀胱の中に膀胱結石が沢山できていました。
これでは膀胱壁が石によって刺激を受けて頻尿や血尿になるはずです。
最近では膀胱鏡を使って石を取り残さないように手術をすることが可能になっており、当院でも膀胱鏡を利用して手術を行うことが多くなっています。
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獣医師 井尻
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今回来院されたワンちゃんは以前から乳腺部に腫瘍があり、徐々に大きくなってしまい腫瘍が裂けて自壊してしまったとのこと。
乳腺腫瘍は、避妊手術を行っていない女の子のワンちゃんに発生(だいたい4頭に1頭の確率)することが多いです。
予防するには若いうち(6か月齢位)に避妊手術を済ませておけば発生率をほとんどゼロにすることが出来るので基本的に行うことをお勧めしています。
このような段階になると、出血を起こして貧血が進行したり、腫瘍が転移したりして状態が悪くなってしまいます。
このまま経過を見ていると更に悪化することが予想されるため、思い切って摘出手術を行うことになりました。
↑乳腺部に大きなしこりがあります
↑摘出しました
腫瘍は大きくなると転移したり再発する確率が高くなるため、早期発見早期治療をお勧めします。
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獣医師 井尻
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今回来院されたトカゲモドキさんは左後ろ足が変な方向に曲がっており、左足を使わないという主訴で来院されました。
レントゲン検査をしてみると何らかの原因で左後足の大腿骨(太ももの骨)を骨折してしまっていました。
飼育環境の問題やカルシウム不足やビタミンD不足などにより、代謝性骨疾患といって骨密度が下がってしまい骨折が起こることがあるため、まずはその辺りを見直して改善する必要があります。
骨折した場合、犬や猫などサイズ感が大きい生き物であれば、プレート法やピンニングなどで骨折を問題無く治療することが可能なのですが、今回のような極小サイズの生きものでは手術した方がリスクが高いことも考えられるため、今回は保存療法(安静に過ごす)を選択しました。
すると…、
↑左の大腿骨が折れて一部重なっていましたが…
↑仮骨が出て来て癒合が進んでいます(骨折から5週間後)
↑折れていた骨がほぼ癒合しました(骨折から3か月後)
安静にすることで自然に治るとは生き物の力は凄いなといつも思わされます。
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獣医師 井尻
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後肢の膝にある前十字靭帯が断裂してしまうと、膝関節が不安定になり跛行が生じることがあります。
特に大型犬では体重が重いためか跛行が続いてしまうことが多く、何らかの方法で治療を行う必要がでてきます。
従来からよく行われている糸を使った方法でも良好な成績ではあるのですが、今回も実施しているTPLOの方がより術後のスムーズな機能回復が得られ、機能の改善率も高いと報告されていることから、最近では大型犬、小型犬問わず当院ではTPLOを行うことが多くなってきています。
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獣医師 井尻
]]>小型犬のワンちゃんは前足を骨折することがよくあります。
今回診させて頂いた子では骨の太さが3〜5mm程度で、折れている部位が骨の先端付近だったのと、成長板があるため骨のサイズが小さくてスクリューが1本しか入りませんでした。そのような場合には、骨の側面にもう一枚プレートを設置して固定強度を上げることができます。
手術は問題無く終わりましたので、後は安静にできれば2〜3か月程度で骨は治る見込みです。
よく頑張ってくれました。
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獣医師 井尻
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女の子のうさぎは中高齢になると子宮に癌が発生することが多く、3歳を過ぎるとなんと80%以上の子に子宮癌が発生するとも言われています。
今回治療させて頂いた子の場合、少し前から血尿が出ておりエコー検査をしてみると子宮が腫れている様子が観察されました。
女の子のウサギで血尿が出ている場合は、確率的には膀胱炎よりも子宮疾患の可能性の方がかなり高く、転移する前に早めに検査や治療を行った方が良いので受診して下さい。
↑お腹を開けてみて、子宮にシコリが出来ています。
↑摘出された子宮(左:子宮 右:卵巣×2)。片方の子宮が腫れています。
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獣医師 井尻
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何とぞご愛顧、ご支援を賜わりますようお願い申し上げます。
皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り致します。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
新年は1月4日(木)から通常通り診察させて頂きます。
令和四年 元旦
垂水オアシス動物病院
今年は12月31日(日)の午前診察(AM9:00〜12:00)まで、
新年は1月4日(木)から通常通り診察を行う予定です。
また、
薬屋さんが年末年始の期間はお休みになりフードやお薬などが入手不可能になるため、
必要な方はお忘れなくお早めに注文して頂くようにお願いします。
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]]>当院では避妊手術を腹腔鏡を使って行うことが多く、9割くらいの避妊手術は腹腔鏡で行っています。
「小さい犬の手術は難しいですか?」とご質問をよく受けますが、大きい犬の方が大変ですし難易度が高いと思います。
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獣医師 井尻
]]>早速レントゲン画像を見させて頂くと、肩の骨(肩甲骨)や骨盤の骨が骨折してしまっています。
おそらく車にひかれており、命があるのは奇跡的な状態なので本当に不幸中の幸いだと思います。
↑骨盤の骨(座骨)が割れてしまっています。
CTスキャンでみると、骨盤がどのように折れているのかがよく分かります。
肩甲骨も粉砕骨折していました。
レントゲン検査とCT検査の情報をもとに手術を行いました。
↑髄内ピンと背側からの創外固定で整復しました。
↑創外固定で肩甲骨の骨折を安定化しました。
子猫ちゃんの場合、すぐに成長して骨もすぐに癒合していくため、今回はプレート法ではなく髄内ピンと創外固定法で固定しました。
術後はすぐに歩いてくれたのでホッとしました。小さいのによく頑張ってくれました。
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獣医師 井尻
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最近のご時世、小型犬ばかりなので大型犬は珍しい方です。
今回も腹腔鏡を使って避妊手術を実施しました。
傷口の大きさもとても小さく、痛みが少なく、回復が早いことが期待できるため、当院では避妊手術の8〜9割以上の割合が腹腔鏡でおこなっています。
飼主さまから時々頂くご質問に、「超小型犬のチワワやトイプードルに麻酔を掛けるのは、大きなワンちゃんに比べてリスクが高いのではないか?」といったものがあります。
お答えとしては、ワンちゃんの体格が大きい小さいが麻酔リスクに影響することはほとんど無いです。
ちなみに、世界一身長が高い国はオランダ(男子183.8cm、女子170.7cm)。 デンマーク、スウェーデンと北欧の国が続き、 日本はというと、男性が170.8cm、女子が158cmで世界第45位だそうです。
参照記事:日本人の身長は海外と比べると?世界の平均身長ランキング
ヒトの場合でも、体格の大きいオランダ人の全身麻酔は安全で、小柄な日本人の全身麻酔は危ないという話を聞いたことは無いと思います。
最近ではチワワやトイプードルなどの小型犬ばかりになってきており、町の動物病院の獣医師は小型犬の麻酔や手術ばかりやっているため、むしろ慣れている分、小型犬の方が安全かも知れません。
小さいキズで避妊手術ができますので痛みや負担が少なくなります。
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井尻
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こちらの猫ちゃん、急に元気や食欲が無くなってしまい、掛かりつけの先生の所で血液検査をして頂くと腎臓の値がかなり高くなっており、腹部のエコー検査をみると腎臓の中の腎盂という部分が拡張しているのが確認できました。
↑エコー検査(左右の腎臓の腎盂が拡張しています)
このような所見は、腎臓と膀胱の間の尿管に何らかの異常(結石が詰まってしまった等)が発生し、尿が流れなくなると腎臓の尿が膀胱に流れなくなり、腎臓の値が急上昇してしまい、適切な治療をせずにいると2〜3日で急変してしまうことがあります。
今回の猫ちゃんの場合、腎数値がとても高くなっており、このまま無治療で経過観察すると悪化していくことが予想されることからSUBというシステムを利用して治療を行いました。
手術後のレントゲン画像(左右の腎臓から人工尿管【SUBシステム】を使って膀胱まで繋げる手術を行いました)
術後は尿が出て腎盂の拡張も無くなり腎数値も改善し、無事に退院していってくれたので良かったです。
手術後には、感染が生じないか、人工尿管が閉塞しないか、などをモニターし、定期的に専用の洗浄液でメンテナンスしながら経過観察していく必要があるものの、このまま問題無く過ごしてくれることが期待できます。
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獣医師 井尻
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パグ、ブルドッグ、フレンチブルドッグ、ペキニーズ等の犬種(頭部が短い犬種)は、鼻が短く、喉の奥の方が狭くなっているため、息をすると「フガー!フガー!フガー!」と通常でも苦しそうな呼吸になっていたり、いびきが認められたりします。
短頭種と呼ばれる犬種の場合には、症状に気づかず治療せずに放置すると年齢が進むにつれて症状が進行してしまい、治療困難な「喉頭虚脱」と呼ばれる状態になってしまうことがあるため、4〜24か月齢の若い時期に治療を受けた方が良いと考えられています。
当院では、パグ、フレンチブルドッグ、ペキニーズなどの犬種では避妊去勢手術の時に短頭種症候群に対する矯正手術も同時に実施することをお勧めしています。
今回来院された子は、短頭種のペキニーズちゃんで、夏場など暑い時期や興奮した後には倒れたり体調を崩してしまったりするということで、当院にて矯正手術を実施させて頂くことになりました。
鼻の孔の大きさを手術を行って広げます
軟口蓋と呼ばれる部位を短く切除しました。これによりガーガーいうような喉鳴りが減り呼吸が楽になります。
切除した軟口蓋
術後は手術前よりも呼吸が楽になり、将来的に喉頭虚脱になり難くなります。
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獣医師 井尻
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巷ではインフルエンザが流行っているとか…。
動物病院で診察していて寒くなってくると来院されることが多くなる代表的な病気は膀胱炎ではないでしょうか。
特に猫ちゃんは寒い時期には飲水量が少なくなるようで尿石症や膀胱炎などが多発する印象です。
気になる飼い主様は水をなるべく与えるようにして(水分量が多いウエットフードも有効)、適度な運動や、部屋の温度を温かく保つとよいです。
また、この秋口から前十字靭帯断裂やパテラの患者さんが多く来院されています。
これはたまたまなのか、季節的なものなのか同じ病気の患者さんが続くのはたぶん動物病院あるあるですね。
今回来院された柴犬のワンちゃんは後足にある前十字靭帯が断裂してしまい、TPLOという手術方法で治療を行いました。
TPLOは術後の治療成績が良い(機能回復が早く、運動機能の回復も良好)ため、当院では小型犬〜中型、大型犬でもこの手術方法で治療を行うことが多くなっています。※特に中型〜大型犬にお勧めですが、小型犬でも術後成績が良いためお勧めしています。
12月も師走で慌ただしい日々が続くかもしれませんが、皆様体調面に気を付けてお過ごしください。
獣医師 井尻
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うさぎなど犬猫以外の動物を診察している動物病院はおそらく珍しいと思うのですが、当院ではうさぎの患者さんの診察を行っているため避妊手術を日常的に実施しています。
まず、うさぎの避妊手術を行うには全身麻酔が必要になります。うさぎは気管挿管が難しいため麻酔の管理が難しく、草食動物なこともあり犬猫より繊細で麻酔のリスクが高く、犬猫と違って組織が脆いため手術も慎重に行わないと組織が千切れてしまったり出血してしまったりと手術のハードルが高めで動物病院の診察対象動物から外されやすい動物です。
ただ、昔は気管挿管が難しく不可能な場合にはマスク麻酔で麻酔を維持しないといけない事もありましたが、近年では新しく開発された喉頭チューブを使えば気管挿管せずとも安定した麻酔を掛けることができるようになっていて、安全に安心して麻酔を掛けることが出来るようになってきています。
↑摘出された子宮と卵巣
↑お腹の傷は皮内縫合後に医療用の接着剤でとめるため、手術後はエリザベスカラーを着けなくても無くて大丈夫です。
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獣医師 井尻
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歯が伸びすぎており食餌が食べられないとのこと。
リスはとても素早い動きをするため、ガス麻酔を吸ってもらい寝て貰ってから歯の処置を行います。
前歯を短くカットしました。歯が伸びすぎてしまい上顎に突き刺さっていたので痛そうですね。
一度こうなってしまった子の場合前歯は伸び続けてしまうため、定期的にカットが必要になります。
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獣医師 井尻
]]>今回来院されたのはドーベルマンで、前十字靭帯が切れていると掛かりつけの動物病院様で診断されたその後も跛行が続いているとのことでした。掛かりつけの先生には大阪にある動物病院さまを紹介して頂いたそうなのですが、大阪までは遠くて通えないということで当院へ手術を希望し来院されました。
↑手術前:レントゲン画像を元にして骨の角度を計測して手術計画を立てていきます
手術は半月板の処理をした後に、骨を丸いノコギリの刃でカットして、専用のプレートで骨同士を固定して終了します。
こちらのTPLOという方法は、術後の改善率が高くて跛行の症状の回復も早いため、大がかりな手術ではあるものの従来から行われている糸を使った方法より術後成績が優れており、特に大型犬の前十字靭帯断裂にはTPLOをお勧めしています。
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獣医師 井尻
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当院での猫の避妊手術は「釣りだし鈎」という器具を使って卵巣を取り出して行うため、傷の大きさは5mm程度で避妊手術が可能です。
いつも通り猫ちゃんのお腹の毛を刈ってみてみると…、お腹に腫れている部分があります。
これは「臍(さい)ヘルニア」といっておへその部分に孔があいてしまっている先天性の疾病であり、診察をしていると時々見かけます。
このような場合は、お腹の外に出てきている内臓をお腹の中に押し込んでから、腹壁を縫合して閉じれば問題無く治りますので、避妊手術や去勢手術など麻酔を掛ける機会があれば、同時に治してしまうのが良いです。
また、臍ヘルニアがある場合は、他の病気(口蓋裂、心膜横隔膜ヘルニア、心房心室中隔欠損、頭側腹壁ヘルニア)など他の先天性異常も併発していることがあるため、念のためレントゲン検査やエコー検査などで調べておくのが良いでしょう。
お腹の毛を刈るとサイヘルニアがあるのがよく分かります。
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獣医師 井尻
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まず寝てもらい…、
↑喉頭チューブを入れてガス麻酔で管理します
↑毛刈りをして消毒し、手術を行います
↑去勢手術が完了しました
去勢手術をしていない場合、尿のマーキング(スプレー)で縄張りを主張したり、攻撃的になることもあるため、去勢手術を行う事で好ましくない行動を軽減したり、精巣腫瘍の予防にもなります。
ちなみに、去勢手術を行うと尿スプレーの90%は消失すると言われています。
5か月齢以降になれば手術は可能であり、当院では日帰りで去勢手術を行っています。
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獣医師 井尻
]]>腎臓病になると貧血が起こってくることがあり(腎性貧血)、今まで治療はヒトのエリスロポエチン製剤を流用して治療するしかありませんでした。
今月から日本全薬工業株式会社より、世界初のネコ・エリスロポエチン製剤「エポベット」の販売が開始されました。
これまでヒトのエリスロポエチン製剤だけしか無かったところに猫用が登場したことになります。
今までからあるヒトのお薬を使うと、抗体が産生されてしまい効き目が無くなってしまったり、弊害が気になるところだったのですが、今回発売された猫専用の薬では問題がより生じにくいことが期待されています。
こちらのエポベットの投与間隔は、2週に1回で皮下注射して投与していきます。今までのヒト用の薬と違って投与間隔が2週間と長いのが特徴で、腎不全で貧血に困っている猫ちゃんなどの場合は積極的に使っていくのが良いかもしれません。
当院でも取り扱いを始めましたので、気になる方はお問い合わせ下さい。
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獣医師 井尻
]]>切歯(前歯)や臼歯(奥歯)のかみ合わせが悪くなると、伸びた歯によって舌を動かせなくなってしまい食べれなくなったり、頬っぺたや舌を傷つけてしまいます。
今回診察させて頂いた子は、切歯も臼歯もかなり伸びてしまっていたため、適度な長さに歯を短くカットし研磨しました。
↑口回りの毛が唾液で汚れています。歯に問題があるとこのような症状が出てきやすいです。
↑カットした歯
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獣医師 井尻
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よく見てみると…、右手首の少し上の辺りに腫瘤ができています。
飼い主様とご相談の結果、腫瘤を摘出することになりました。
↑右手に腫瘤があります
↑腫瘤を摘出して縫合しました。この後、麻酔からも覚めてお家へ帰っていってくれたので良かったです。
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獣医師 井尻
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今回治療をおこなったワンちゃんは、体重が1.5kgととても小柄なトイプードルちゃんでした。
膝蓋骨脱臼は重症度によってグレード1〜4に分類されており、今回の子は最重度(一番重症)のグレード4と診断しました。
↑向かって右側の肢(本人の左肢)の大腿骨と脛骨が重度に変形してしまっています
この子のようにレントゲン画像上で骨自体が変形しているように見える時は、レントゲンが撮影された体位によっては正常であっても骨が曲がったように見えてしまうこともあるため、詳しく状態を評価するためにCT検査を実施しました。当院ではCTスキャンを導入しており、骨の状態を詳しく調べることができます。
↑本人の左後肢(大腿骨)が変形していました
ここまで大腿骨の変形が重度だと、通常の膝蓋骨脱臼の手術では整復不可能なため、今回は「大腿骨遠位骨切り術 (DFO)」という方法で治療を行いました。グレード4の一部の犬、特により重度な膝蓋骨脱臼の犬では大腿骨の変形がかなり重度である場合があり、根本的に骨の変形矯正を行う必要があります。また、これらの手術には精密な術前計画が必要であり、四肢全体の CT スキャンを利用することが望ましいです。
今回、手術前にはCTスキャンのデータを利用して3Dプリンタで実物大の骨格模型を造り、それを使って術前のシュミレーションを行いました。3Dプリンタの実物大骨格模型があると、術前にシュミレーションを行いプレートを事前に成型しておくことが出来るため、手術がスムーズで手術時間も短縮できるメリットがあります。
↑3プリンタで印刷した実物大骨格模型
今回手術を行った子は、体重が1.5kgととても小柄なトイプードルちゃんでした。
骨の厚みが4mmしか無く、常に在庫しているプレートやスクリューではサイズが合わず手術不可能だったため、直径1mmのスクリューが使える特殊なプレートシステムを海外から取り寄せ準備を整えて手術を行いました。
↑大腿骨の骨切り矯正(ダブルプレート法)、内側関節包の切離、縫工筋・内側広筋の切離、関節外法を行いました。
曲がっていた大腿骨が矯正され、膝蓋骨が整復できました。体格が小さくてスクリュー径が1mmと細いため繊細な手術が必要でした。
生まれつき大腿骨が変形しているような重度な膝蓋骨脱臼(グレード4)でも、脱臼を整復して治療できるケースもあるためご相談下さい。
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獣医師 井尻
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ペットショップを覗いてみても大型犬は店頭におらず、チワワ、トイプードル、それらのMIXなどが人気のようですね。
それに伴い、中型犬や大型犬ではまず見られることがない、前足の骨折事故がよく見られます。
当院では、骨折の治療に使う手術機材(プレート、スクリュー等)は、精度と信頼性の高い海外の製品を使用しており日本国内では手に入らないため、海外に行った際に購入したり、個人輸入をして海外から取り寄せています。
(※動物用の手術機材は市場が小さく儲からないためなのか、国内メーカー製のものが殆ど無いのが現状)
今までのこの手術機材を使って治療をしてきた症例は幸いなことに全例治癒しているのですが、このごろ体重が1kg未満〜1kg前半の小型犬で骨折の治療をすることが時々あり、この度、超小型犬用のプレートやスクリューなど手術機材を導入しました。
↑上からプレートサイズが#3.5、#4×2枚、#5、#6となっています。
今までは下の2枚(#5、#6)のプレートを使用していました。
今回導入したスクリューの太さは、皮質骨スクリューが1mm、ロッキングスクリューが1.6mmとかなり繊細ですので、骨の直径が3mm程度の細い骨でも治療することができます。
今までは骨が細すぎて手術不可能な症例では、外固定などその他の手段を使ってヒヤヒヤしながらも治っていたのですが、超小型犬でもより安心できる治療が提供できるようになりました。
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獣医師 井尻
垂水オアシス動物病院
井尻
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そのような場合、パテラ(膝蓋骨脱臼)か、前十字靭帯断裂が原因になっていることが多いです。
前十字靭帯が切れてしまった場合、膝の安定性が無くなるため跛行が続いてしまいます。
治療方法として、糸を使う関節外法という方法や、骨の角度を変えるTPLOという方法等が行われています。
当院では関節外法や、TPLOという方法、両方の治療法に対応しています。
今回、前十字靭帯断裂の治療を行ったワンちゃんは、小型犬のトイプードルでとても小柄ではありましたが、小さな骨切りブレードや、プレート、スクリューを用いることで問題無く実施することができました。
大型犬と違いサイズが小さいこともあり細かい繊細な手術が必要になるものの、術後の成績が関節外法よりも良好なため最近は基本的に小型犬でもTPLOをお勧めしています。
(※糸を使う方法(関節外法)も良い方法なのですが、術後に糸が緩んでしまったり、糸が伸びてしまったりして再発することがあり得るのが難点です。)
↑手術前
↑手術後
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獣医師 井尻
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誠に勝手ながら、
8月22日(火)は午前診察は通常通り診察、午後診察は臨時休診とさせて頂きます。
上記以外の日は通常通り診察を行っております。
ご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願い申し上げます。
垂水オアシス動物病院
(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)
]]>猿も木から落ちるということわざのように、猫も二階などの高い所から落ちて骨折することが実は時々あります。
レントゲン検査をしてみると、後足の指の骨が1本骨折してしまっています。指の骨の骨折だけで済み、命には別条が無かったのは良かったです。
今回は髄内ピンで整復固定しました。
癒合までに2か月程度掛かるためそれまでは外固定と安静が必要になります。
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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犬や猫であれば美味しそうな缶詰を与えてみる、チュールをあげてみる、手作りごはんをあげてみる、など色々試してみることができます。ただ、カメが食べなくなってしまったら、食べさせようと頭を引っ張り出そうとしても、頭を引っ込めてしまい無理やり食べさせることは出来ません。
そこで鎮静や麻酔を掛けた上で、カテーテル(管)を首の部位から食道に挿入しておき、毎日ご自宅で流動食を与えると栄養補給をすることができます。
↑首を引っ込めてしまい出てきてくれません
↑首から食道チューブをいれてそこから流動食を与えていきます
今回のカメさんは感染症で全身的に衰弱していたため、食道チューブを設置しました。
早く良くなってくれることを期待しています。
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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腹腔鏡を使うと、傷口が5mm程度と小さく、痛みも少なく、身体への負担が少ないこともあり、通常行われることが多い開腹手術も勿論行っていますが、飼い主さんとご相談させて頂きますと開腹手術ではなく腹腔鏡手術を選択されるケースがほとんどです。
もし、人間である私が手術を受けることになった場合、開腹手術でも腹腔鏡手術でも技術的に問題無く安全に施術できるのであれば、間違いなく腹腔鏡を選択すると思います。痛いのとかは嫌ですもんね…。
ワンちゃんは「痛い〜」とはしゃべりませんが、なるべく負担が少ないように避妊手術をしてあげたいと思い当院では腹腔鏡で避妊手術を行っています。
ご希望の方はお気軽にお問い合わせ下さい。
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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飼い主様とご相談の結果、大きくなる前に摘出することになりました。
↑胸の辺りにしこりがあります
しこりを摘出しました。
よく頑張ってくれました!
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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このような場合、腫瘍か、膿瘍(細菌感染症)のどちらかのことがほとんどです。
麻酔を掛けて寝てもらい…、
頬っぺたのところを切開してみると…、
膿が大量に出てきました。
あとは洗浄して消毒して抗生物質を投与していきます。
よく頑張ってくれました!
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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バーニーズマウンテンドッグは白と黒と茶色の大型犬で、とても可愛いワンちゃんですよね。
早速診察させて頂くと、触診とレントゲン検査等により前十字靭帯断裂と診断しました。
中高齢の大型犬で後ろ足を急に挙げるようになった場合、前十字靭帯が断裂していることがとても多いです。
飼い主様とご相談の結果、TPLOと呼ばれる手術方法で前十字靭帯断裂を治療することになりました。
↑手術前
↑手術後
前十字靭帯断裂の治療では、特に大型犬の場合は、糸を使った関節外法という手術方法では糸が緩んだり、切れたりして再発し易いといわれており、術後の回復が早いTPLOをお勧めしています。
よく頑張ってくれました!
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
]]>
特に野生個体では何を持っていても不思議ではないのは容易に想像できます。
動物病院で診察をしていても便検査をすると寄生虫が見つかることが時々あります。
今回来院されたカメさんは、「便に白い虫が出てきた」ということで連れて来られました。
診させていただくと、どうやら回虫類のようです。
回虫類は爬虫類に寄生する線虫の中でも病原性が高い(爬虫類にとっては悪い虫)とされています。
感染は、幼虫の形成された虫卵を経口摂取することで起こります。
孵化した幼虫はまず肺に移行して、気管、食道へと再び消化管に戻ります。肺を移動中の幼虫は2mm程度から2cm程度に大きくなるため、カメへのダメージが大きくなります。
そのため、幼虫の移行期には、呼吸器症状が出てくることがあり、消化管の中で成長すると10cm程度にもなることがあり、腸閉塞を引き起こすこともあります。
駆虫薬を投与すると、虫が死滅して腸閉塞を起こすこともあるようです。
治療には、フェンベンダゾールという内服薬を使ったり、プロフェンダーという経皮投与薬をつかっていきます。
犬や猫に使われるイベルメクチンという薬をカメに使うと副作用が強く出ることがあり禁忌です。
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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とても幼くて橈骨の骨の厚みが1.8mm、骨の幅が3.9mmしかありません。
プレート法で治すには骨が小さすぎるのと、骨の変位が少ないこともあって、今回はギプス固定で治すことになりました。
今回はその骨が癒合するまでの経過をレントゲン検査で見てみましょう。
↑橈骨と尺骨が折れています(骨折0日目)ギプス固定を行いました。
7日目
14日目
21日目ギプスをしているものの、骨が変位してしまっています。ただ、跛行も見られないため、このまま経過観察をしていきます。
28日目
35日目
42日目
49日目。ほぼ骨は癒合してきました。
とても若い犬のため、治癒する力はとても強く問題無く治ってくれたので良かったです。
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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診察させて頂くと確かに頸部に腫瘍らしきものが出来ていました。
デグーを診察していると、ときどき腫瘍が出来てしまった子を見かけます。
一番多いのは皮膚にできる線維肉腫だったり、黒色腫、平滑筋肉腫、皮膚型リンパ腫など色々な腫瘍が発生します。
今回は飼い主さんとご相談の結果、腫瘤を摘出することになりました。
↑手術前の様子。首に腫瘤がありました。
↑腫瘤を摘出しました。
腫瘍が大きくなると、部位によっては摘出が難しくなるため、気づかれたら早めにご相談ください。
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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同じ疾患が揃い合わせたように来院されるのは動物病院あるあるです。
今回のワンちゃんは後足を跛行していて来院されました。
触診やレントゲン検査をしてみるとドロワーサインという兆候がみられ、前十字靭帯断裂が疑われました。
脛骨(下の骨)が正常な位置より前方に移動しています。
整復後。
あとは2か月程度の安静が必要になりますが、徐々に改善してくる予定です。
よく頑張ってくれました!
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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今回来院されたワンちゃんは、ポメラニアンで左後肢を完全に挙上していました。
散歩中に足を全く着かなくなってしまったとのこと。
このような場合は、外傷、膝蓋骨脱臼、前十字靭帯断裂、股関節脱臼などが考えられます。
レントゲン検査を実施すると…
左側の股関節が外れてしまっています。
全身麻酔を掛けた後、股関節を元の位置に戻してから、包帯とテープで患肢を固定しました。
再脱臼などの問題が生じなければ、2〜3週間程度で包帯を外せば症状が改善している予定です。
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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先日、診察に腫瘍が出来たハムスターちゃんが来院されました。
高齢のハムスターちゃんに腫瘍が出来ることはよくあることで、こちらのハムスターちゃんもお腹に大きな腫瘍が出来ていました。
高齢になってから出来物ができ、様子を見ているとあっという間に大きくなってしまうことが多いです。
お腹に大きな腫瘍が出来ています。
飼い主さまとリスクもふまえてご相談の結果、腫瘍の摘出を行うことになりました。
↑お腹に大きな腫瘍ができています
↑腫瘍を摘出しました。レーザーメスを使えばほとんど出血無く摘出が可能でした。
術後の様子。麻酔も覚めてお家へ帰っていってくれたので良かったです。
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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テーブルの上に置いてあった焼き鳥をくわえてごっくんと丸のみしてしまう、ような異物誤食事故はとても多くあります。
このような場合、吐かせると食道に串が刺さってしまうこともあり、吐かせるのも危険かもしれません。
様子を見ているとそのうち竹串が腸に刺さってしまうかもしれません。
このような場合は、内視鏡検査を行い、摘出できれば取り除くのがベストです。
さっそく内視鏡で見てみると…
見つかりました。
焼き鳥を串ごとバラバラにして食べている場合、全部のパーツを摘出するのは大変苦労することが多いのですが、
今回はも何とか鉗子などで掴んで問題なく引っ張り出すことが出来たので良かったです。
ワンちゃんは目を離したすきにパクッと食べてしまう事がありますので、注意してあげて下さい。
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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確かに尾のところの皮膚が所々赤くなっています。
このようなケースでは細菌感染が疑われるため、薬浴(両生類用に調整したリンゲル液+抗生剤に入れる)を実施したところ、赤い部位が減り改善してくれたので良かったです。
両生類の場合、注射や内服薬で治療するよりも、薬浴を実施して治療することが多く今回もこの方法を利用しています。
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
]]>中高齢になり、急に後足を痛がって跛行する場合は、前十字靭帯という靭帯が切れてしまっていることが原因であることがとても多いです。
さっそく触診とレントゲン検査を実施してみると、重度の膝蓋骨脱臼(グレード4)と、前十字靭帯断裂が認められました。
重度の膝蓋骨脱臼(グレード4)が元々あり、それに加えて前十字靭帯が断裂してしまい、跛行が生じているものと考えられました。
今回は、前十字靭帯断裂の治療と膝蓋骨脱臼の治療を兼ねて、関節外法を行い、脛骨粗面移植術も行いました。
【手術前】両側の肢で関節炎の所見や膝蓋骨脱臼が認められます。
【手術前】横からレントゲン検査をしてみると、膝蓋骨が脱臼しています。
【手術後】膝蓋骨が正常な位置に戻りました
【手術後】膝蓋骨が正常な位置に戻りました
グレード4の膝蓋骨脱臼を整復するのは難しかったものの、脛骨粗面移植を行い、関節外法を併用し、内側支帯の切離行うなどを行うことで問題無く整復することが出来ました。
手術よく頑張ってくれました!
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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どうやら腰くらいの高さから落下してしまい、足を着地した時に骨折してしまったようでした。
飼い主さんとご相談の結果、今回もプレート法で行うことになりました。
橈尺骨骨折の治療法には、プレート法以外にも、創外固定法、髄内ピン+外固定法、外固定法…などの治療法がありますが、当院ではプレート法を用いて整復固定を実施することが多いです。
プレート法は、術後すぐに歩けるようになる、術後のケアがほとんど不要なので術後も快適に過ごすことが出来るのがメリットです。
ただ、手術手技によって組織を痛めてしまったり、使用するプレートの種類(硬すぎる、大きすぎるステンレス製プレート)の選択が合っていなかったり、スクリューの間隔が合っていないと、術後に骨が委縮してしまい癒合不全に陥ってしまうなどのデメリットがあると言われています。
そのため、プレート法よりも創外固定法や、外固定法を推奨している動物病院もあるようです。
当院では、特殊なプレート(適切な長さ、適度な硬さ、材質【チタン製】など)を海外から個人輸入して手術を行っており、幸いなことに過去の症例を含めて癒合不全に陥ることなく全例癒合してくれている実績があるため、プレート法を選択することが多くなっています。
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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多発性嚢胞腎は、ゆっくりと進行する遺伝性の腎臓の病気で、 ペルシャ猫に多く見られます(診察していると、雑種の猫でもみられます)。 この多発性嚢胞腎は、他の動物種やヒトでも報告がありますが、ヒトでは難病指定されている疾患です。
↑https://www.adpkd.jp/samsca/adpkd/index.html(大塚製薬サイトより)
腎臓だけではなく、肝臓に多数の嚢胞を形成することがあります。
遺伝子の変異がその原因とされており、年齢を重ねるにつれて嚢胞が形成、拡大されてきます。徐々にその嚢胞の数、大きさが大きくなっていき、腎臓の機能している部分を圧迫してしまい、腎機能の低下が生じていきます。
小さい嚢胞は、7週齢頃から認められ、徐々に進行していき、平均7歳齢(3〜10歳)で腎臓病の症状(食欲不振、多飲多尿、体重減少など)が現れます。
この多発性嚢胞腎は、遺伝性で生まれつきのものです。 どちらかの親に、多発性嚢胞腎を引き起こす遺伝子異常があると、子どもに50%の確率で遺伝します。
多発性嚢胞腎になった猫の症状は、慢性腎不全をもつネコとよく似た症状です。 元気や食欲の低下、多飲 多尿、体重減少、嘔吐などが見られます。
診断方法は、超音波検査で、腎臓に嚢胞が多数あれば多発性嚢胞腎の疑いがあります。
16週齢で75%、36週齢で91%の感度で多発性嚢胞腎と診断できたという報告もありますが、確定するには遺伝子診断が必要となります。
遺伝子診断は、採血を行って血液を検査センターへ送付すれば診断できます。 超音波検査で腎臓に嚢胞が発見された場合には、嚢胞の原因が多発性嚢胞腎によるものなのかどうか、 遺伝子診断をすることで確定・鑑別診断することができます。
現時点では根本的な治療方法がありません。
腎数値が上昇したり症状が出ている猫では、慢性腎臓病と同じような治療を行います。
嚢胞を大きくしない治療方法があれば良いのですが、今のところ猫では確実な方法は知られていません。
ただ、ヒトでは2013年に発売されたバソプレシン受容体拮抗薬(トルバプタン、商品名:サムスカ)を使うと嚢胞拡大を抑制できることが分かっており、3年間で嚢胞の拡大スピードを50%遅くし、腎機能の低下スピードも30%遅くすることが報告されています。
【慢性腎臓病で行われる治療】
タンパク質およびリンを制限した療法食
皮下点滴
リン吸着剤
エリスロポエチン
胃薬
吐き気止め
血圧降下剤
当院では、猫に対してトルバプタン(サムスカ)を使った多発性嚢胞腎の治療を行っています。
治療を受けてみたい方はご相談下さい。
多発性嚢胞腎の遺伝子をもった猫を繁殖させないことが大切です。猫のブリーダーは、事前にエコー検査や遺伝子検査を行い、多発性嚢胞腎が有ればブリーディングさせないようにします。
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さっそく診させて頂くと、右後ろ足を痛がっており、膝関節にある前十字靭帯が断裂していました。
前十字靭帯断裂は後足の跛行の原因としてよくある疾患で、今回もこれが原因で痛みが出たり、跛行が認められているものと思われました。
前十字靭帯断裂は、大型犬に多く発生するイメージが一般的にあるのですが、チワワやトイプードルなどの小型犬でも良く見られます。
飼い主さんとご相談の結果、術後の機能回復が良好なTPLOという手術方法で治療することになりました。
↑手術前のレントゲン画像。脛骨が前方へ変位しています。
↑TPLO後のレントゲン画像。
↑TPLO後のレントゲン画像。
TPLOは術後の機能回復が早く、術後1週間後には問題なく肢を着いて歩いてくれるようになったので良かったです。
前十字靭帯断裂の治療法には、糸を使った方法(関節外法)もありますが、体感的にもTPLOの方が機能回復が早く、術後の成績が最も優れているという報告がされているため、当院ではTPLOをお勧めしています。
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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お話をお伺いすると、どうやら車に轢かれてしまったようでした。
最近では車にはねられるケースは珍しくなっていますが、屋外にお出かけする猫ちゃんは交通事故にあうと危険ですのでお気を付けください。
今回の猫ちゃんは、
後足(脛骨)の粉砕骨折があり、
プレート法で整復しました。
また、右側の腸骨翼が骨折しているのと、左側の仙腸関節が脱臼していたため整復しました。
ダメージが大きそうではありますが、問題無く整復と固定が出来たので早く良くなってくれることが期待できそうです。
猫ちゃんよく頑張ってくれました!
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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4階から落下したら人間であれば恐らく助からない高さです。
アメリカからの報告によると、
8階以下の場合では高さが高くなるにつれてケガの箇所が増えていくが、そのうち90%の猫が生き延びることができたそうです。
8階以上から落下した場合、外傷や、骨折の箇所は大幅に減少するそうです。
9階以上からの落下ではいずれの種類の外傷も大幅に少なくなっています。
驚くことに、かなりの高層階の高さから落ちた方がケガが少なくなるということのようです。
こちらの猫ちゃん、4階からの落下でしたが幸いなことに命には別条無く助かりました。
ただ、前足を骨折(上腕骨遠位部の骨折)してしまっており今回はそれを治す手術を行いました。
↑肘関節の辺りの骨が骨折しています
↑上腕骨の外顆部分が骨折し、肘関節も脱臼しています。
↑ラグスクリューと、ピンニングで固定しました。
手術翌日には足を使い始めて、徐々に歩けるようになっているので良かったです。
マンションにお住まいで猫飼いの飼い主様は落下事故にお気をつけください。
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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当院にて書類作成・提出の手続きも行えます。
フィラリア予防も同時にすることができます。
お気軽にご来院下さい!
垂水オアシス動物病院
(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)
症状が続いており、比較的グレードが高いことから膝蓋骨脱臼の整復手術(造溝術、外側関節包縫縮、内側支帯の切離、脛骨粗面移植術、関節外法など)を行いました。
↑膝蓋骨が脱臼しています
↑膝蓋骨脱臼が改善しています
よくがんばってくれました。
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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私が子供の頃に家でうさぎを飼育していた経験があり、赤ちゃんうさぎが産まれたり、子うさぎを育てたりと、とても馴染みのある生き物でした。
その後、動物が好きなことから獣医師を目指して獣医学科のある大学に入学しました。
ただ、大学では犬、猫などの小動物や、牛、馬、豚などの産業動物についての講義はあるものの、うさぎについてのカリキュラムは無く、残念ながらほとんど勉強する機会が有りませんでした。これは他の獣医師も同じだと思います。
そのため、大学を卒業後に動物病院に勤務しながら、勉強会に参加したり、実際に臨床現場で学びながらウサギの診療を続けてきました。
うさぎの診察を行うには色々と注意しないといけない点があり、それを知らずに診察すると、うさぎの命に関わることがあります。
例えば、犬や猫に非常によく使われている抗生剤(セファレキシン等)を、うさぎに使うとお腹の細菌叢が乱れてしまい急変して亡くなってしまうことがありますので絶対に使用してはなりません。
また、犬や猫で使われているノミダニの予防薬を使うとこれも亡くなってしまうことがあるため注意が必要です。
実際の話、うさぎの診察をされている動物病院さま(HPにはうさぎが診療対象動物と載っているようです)を受診していて、「お薬を使ってから調子が悪く下痢になりグッタリしている」ということでセカンドオピニオンを希望し当院へ来院されたうさぎさんがいました。
飼い主さまからお話をお伺いすると、使ってはいけない抗生剤が処方されており、残念ながらそのことが原因で致命的な状況になってしまった様子で救命することが出来ませんでした。
私が普段診察していて見聞きしているだけでもうさぎさんにはそのような話がいくつもあります。
飼い主さまの立場になったとき、どのように動物病院を選択すればいいの?どこの病院に通院したら良いの?ほんとにうさぎに詳しい先生なの?など判断できないことが多いのではないでしょうか?
ウサギマスター検定1級に合格することがひとつの目安になり、うさぎの飼い主さんにより安心して受診して頂けたらと考えています。
何かお困り事がありましたらお気軽にご来院ください。
ウサギマスター認定者(ウサギマスター検定1級)https://jcrabbit.org/list_1/
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こちらの麻酔器はヒトの小児外科の麻酔器としても使われており、身体が小さな患者さん(私たちでは犬や猫)にも安全に麻酔を掛けることができます。この麻酔器はとても高性能で動物の身体に合わせて人工呼吸を行い、スムーズな麻酔の導入や覚醒が可能で、より一層安全な全身麻酔が可能です。
人間と違い体の小さい動物には、より高精度な麻酔器が必要ですが、この麻酔器は小さな動物であっても呼吸管理をしながら麻酔をかけることができます。様々な人工呼吸モードが動物達の麻酔中の呼吸を最適にコントロールします。
当院は外科を得意としていることもあり、麻酔器は手術数が多い垂水オアシス動物病院の要となる器械です。
ちなみに、ドレーゲル社は海外(ドイツ)メーカーなのですが、麻酔器の注文をお願いしてから1年以上掛かってようやく手術室に設置されることになったのでした。
新型コロナの流行もあり、人工呼吸器が不足して生産が追い付かなかったり、半導体不足だったり、ウクライナでの戦争の影響や、サプライチェーンの乱れによって部品が入らなかったりして、他の医療機器でも注文してから納品まで1年以上の時間が掛かることがあるようです。
今後も日々安全な全身麻酔や麻酔管理が出来るように努めてまいります。
垂水オアシス動物病院
井尻
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誠に勝手ながら、
3月28日(火)の午後診察は臨時休診とさせて頂きます。
上記以外の日は通常通り診察を行っております。
ご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願い申し上げます。
垂水オアシス動物病院
(神戸市垂水区霞ヶ丘にある動物病院です)
]]>腹腔鏡を用いると5mm程度の孔が2つ程度で避妊手術ができます。
当院で行っている避妊手術のうち8割程度が腹腔鏡で行われており、淡路島など遠方にお住まいの方でも腹腔鏡での避妊手術を希望されて来院されています。
↑手術1週間後の様子
↑手術直後の様子。とても小さい創で避妊手術が可能です。
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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経過から推測すると卵詰まりの可能性が高いためレントゲン検査とCT検査を実施したところお腹の中に卵が入っていました。
飼育下の女の子のカメさんには卵詰まりが発生することがよくあります。
かなり状態が悪くなってきており、調子が悪くなってから日数がだいぶ経過し、このまま更に経過を見ても良くなりそうに無かったため、飼い主さまとご相談の結果、卵詰まりを疑い、卵巣・卵管摘出手術を実施することになりました。
気管挿管をして人工呼吸を行います。後足をテープでぐるぐる巻いて固定します。
その後、ドレープで身体を覆い術野を消毒します。
卵詰まりの手術方法には、開甲術(甲羅を切って開ける方法)と大腿部の切開術があります。
今回は、甲羅を切って開けずに、甲羅の形状から大腿前部からの手術を実施しました。
甲羅を切らないため回復が早い利点がありますが、手術野が狭いため、卵巣や卵管を取り出し難いこともあります。
大腿部の孔から卵巣と卵管を摘出します。
卵巣を摘出するとき、腹腔鏡を併用すると手術し易くなります。
腹腔鏡も使って手術を進めていきます。
大腿前部の孔から卵巣と卵管を摘出した後、皮膚を縫合しました。
手術後、しばらくして麻酔からも覚めてお家へ帰っていってくれたので良かったです。
摘出された卵巣と卵管。
手術後は一時ごはんを食べなかったようですが、しばらくするとペレットを沢山食べるようになったようで良かったです。
垂水オアシス動物病院
井尻
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アニコム損保の保険金請求データをみると、だいたい7頭に1頭のワンちゃんが外耳炎を経験しており、しかも、3ヶ月以内の再発率は43%とのこと。
やはり、外耳炎はよくある病気であるのは間違いなさそうです。
なり易い犬種も大体決まっており、獣医師の主観では、ダントツ、アメリカンコッカースパニエルは外耳炎になり易い印象です。
「コッカースパニエル=外耳炎」の印象が強すぎて、外耳炎になっていない子が珍しいくらいに感じます。
先日来院されたコッカースパニエルちゃんも、慢性的な外耳炎に罹患しており耳の出口には腫瘤が出来ていました。何年間もこのような状態が続いているため、耳道は炎症を起こし、石灰化し腫れて、耳の孔の掃除も出来ないような厳しい状況です。
このような状況では、ビデオオトスコープで耳の孔を洗浄することも出来ない(耳の孔がもはや無いため細いカメラでも入れられない)ですし、耳の孔も石灰化しているため、残念ながら耳道が正常に戻ることは無いです。
こうなってしまった場合、耳掃除をしても点耳薬を入れても焼け石に水で、症状が良くなることが無いですし、何年も治らない慢性的な外耳炎が続いてしまうと飼い主さまも(獣医師も)半ば諦めの心境になり放置されてしまうケースが多いのではないでしょうか?
今回治療を行ったコッカーちゃんも何年も前から長年に渡って外耳炎を患っていたのですが、最近になって耳道に腫瘤が出来て大きくなってきており出血が続くため腫瘤を摘出することになりました。
このようなケースでは腫瘤を摘出するだけでは症状がほとんど改善しないため、石灰化してしまった耳道ごと全て摘出する必要があり、飼い主さまとの相談の結果、外耳道全摘手術を行うことになりました。
↑耳道に腫瘤が出来ています
↑耳道を摘出しました
↑摘出された耳道
手術後には痒み、痛み、炎症が生じている耳道の部位が全て無くなるため、長年苦しんだ外耳炎の症状から解放されます。
慢性の外耳炎に罹患した患者さんのQOL(生活の質)を改善させることができる唯一の方法であり、最終的な治療法だと思います。
末期的な外耳炎の症状や外耳炎の臭いでお困りの方は当院までご相談下さい。
〇解説≪全耳道切除術+外側鼓室胞骨切り術≫
※専門的な内容になります
今回行った治療の方法である、外耳道全摘出術【TECA(total ear canal ablation)】とは、垂直耳道と水平耳道と呼ばれる部位の両方を切除する方法で、外側鼓室胞骨切り術【LBO(lateral bulla osteotomy)】も同時に行います。
犬においてTECAが必要になるのは、耳道の重度石灰化や慢性的かつ末期的な外耳炎、耳道内の腫瘍などです。
この手術を行う際には、重要な組織(顔面神経、血管など)のすぐ近くを手術するため外科解剖を熟知している必要があり、術中や術後の合併症の発生も有り得るため慎重に細心の注意を払って手術を行っています。
手術法についての詳細はこちら(オハイオ州立大学のDaniel D. Smeak先生の方法で、当院ではこちらの方法に準じて手術を行っています。鼓室胞の腹側後方まで骨切りを行う手術方法が具体的にとても分かり易く解説されています。)
手術手技の動画はこちら(同じくオハイオ州立大学によって公開されている全耳道切除術の手術方法の動画です。Quicktimeをダウンロードすれば動画が見れます。)
⇒全耳道切除術と外側鼓室胞骨切り術の 7 つの手順の概要が解説されています。
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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1歳を超えるとジャンガリアンハムスターには腫瘍がよくできます。
今回も飼主さまとご相談の結果、腫瘍を摘出することになりました。
↑ガス麻酔で寝て貰います
↑腫瘍を摘出しました。半導体レーザーを用いると1滴も出血せずに手術が可能です。
垂水オアシス動物病院
獣医師 井尻
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